「集団的自衛権行使を可能にするための解釈改憲に向けて、政府が国会での質疑などのためにつくった『想定問答集』の全容が、29日までにわかりました。~与党協議で示した閣議決定案の内容を拡大解釈するオンパレードで、”歯止めなき武力行使”の本音を浮き彫りにしています」(「しんぶん赤旗」30日付)
「想定問答集」の「問 3 どのような場合に集団的自衛権を行使できるのか。 ・『新3要件』を満たす限り、国際法上は集団的自衛権が根拠となる『武力の行使』も憲法上許される。 『新3要件』に該当するか否かは政府がすべての情報を総合して客観的、合理的に判断する。 ・その上で、実際上、『武力の行使』の要否は、高度に政治的な決断。 時の内閣が、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために何が最善か、あらゆる選択肢を比較しつつ、現実に発生した事態の個別具体的な状況に即して、総合的に判断」
「問 11 シーレーンで機雷掃海や民間船舶の護衛は憲法上できるのか。 ・我が国の存立を全うし、国民を守るために、『武力の行使』にあたるものであっても、シーレーンにおける機雷掃海や民間船舶の護衛が必要不可欠な場合があり得る」
「問 13 他国の領海内で機雷掃海はやらないということか。 ・他国の領海内における『武力の行使』に当たる機雷掃海であっても、『新3要件』を満たす場合には、憲法上許されないわけではない」
「武力行使の3要件」とは、(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること。 (2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと。 (3)必要最小限度の実力行使にとどめるべきこと」とされています。
これらの「要件」と「想定問答」から見えてくるのは、「武力行使の全ての判断が、時の政権に最大限保障されたもの」になっていることです。
「政府がすべての情報を総合して客観的、合理的に判断する」としていますが、日米軍事同盟体制のもとでは、日本政府が、「自主的に判断できる情報は皆無」といっていいでしょう。 戦後のアメリカの侵略戦争に一度も反対したことのない日本政府、すべてアメリカの情報によりアメリカの戦争を支持してきた日本政府が、「集団的自衛権の行使が可能」になるやいなや、「自主性に判断する」ことができるようになることなど、ありえないでしょう。
日本の自衛隊は、「日本国の自主的で自前の軍隊」ではありません。 誕生時から今日の世界有数の軍隊に拡大されてきましたが、装備も訓練も部隊編成や通信手段もすべて米軍の指揮下でつくられ、行動しているのが実態です。
それでも、国民の運動、たたかいのなかで、自民党政権下でも、2つの歯止め、「戦闘地域に行かない」「武力行使はしない」ことが憲法9条の下で守られてきました。
憲法破壊のクーデター、「集団的自衛権の行使容認の閣議決定」を許さないたたかいをいっそう強めていきたいと思います