[政党の綱領の性格]
政党にとって、綱領とはどんな意義、役割をもっているのでしょうか。 日本共産党は戦後、公然と国民の前で活動を開始することができるようになりました。 戦前は、絶対主義的天皇制のもとで国民はすべての人権、民主主義を奪われ侵略戦争が拡大さるなかで、侵略戦争・植民地支配に反対し、国民の生活と権利を守るために天皇制の廃止を掲げた日本共産党の活動は支配勢力の最大の弾圧の対象にされ非公然での活動を余儀なくされました。 そのために、多くの先輩党員や支持者が弾圧の犠牲になりました。
しかし、こうした運動は、戦後の憲法の平和と民主主義の諸規定に結実しました。 その最大のものが、天皇主権から国民主権への根本的転換だったと思います。 戦前も27年テーゼ、32年テーゼと言われる綱領的方針がつくられ困難を極めた時代のなかで活動がつづけられました。
私が、具体的に日本共産党を知り、活動に参加するようになったのは、1960年代の初め頃です。 すでに、1961年に採択された綱領(「61年綱領」と表します)が、党員や支持者の活動の大きな確信となり、労働組合運動など様々な運動に反映され、、前進していた時代だったと記憶しています。
「61年綱領」は、日本と世界の情勢の激動のなかで、何度も部分改定が行われました。 その都度、「なぜ、どこの部分を、どのように」改定するのか」改定提案について、科学的社会主義の基本的学習を含めて、支部で話し合ったことを覚えています。
「61年綱領」は、日本共産党の歴史と存在価値をかけて、「日本共産党を語った」ものであったと思っています。
現在の綱領は、「61年綱領」に基づく活動を踏まえ、21世紀を迎えた新しい国内外の情勢と運動、科学的社会主義理論の復活活動の到達点を踏まえて、国民が読んで分かり易く、同時に科学的社会主義の未来社会論をも全面的に明らかにした内容になっています。
今回16年ぶりに、綱領の一部改正案が11月4~5日の「8中総」で提案され、一部修正された上で全会一致で承認されました。「しんぶん赤旗」11月6日、7日付に全文が掲載(「結語」を含めて)されました。 多くの方に全文を是非お読みいただきたいと思います。
私は、多くの国民の方々に、「綱領改定案」を読んでいただき、感想、ご意見をお寄せただくことが新たな国民、市民との関係を発展させることになると思っています。
改めて、政党にとっての「綱領」について、考えてみたいと思います。
次の「解説」は、「世界大百科事典第2版」からのものです。
「一般に政治組織・党派の目的とそれに至る筋道を定めた文書をいう。 政治組織はみずからの存在理由と趣旨とを簡潔に表現した文章をもつことが多い。 歴史的には体制変革をめざす政党、とりわけ科学的社会主義をかかげる政党が緻密な党綱領を作成し、これによって党建設をおこなってきた。 これに対し保守主義政党や非宗教的中間政党のように特定の世界観を基礎としていない場合には、一般的かつ抽象的な綱領をもつことにとどまることが多い」
「国際的には、マルクスの《共産党宣言》(1848)が共産主義者同盟の綱領草案として有名であるが、ドイツ労働運動ではゴ―タ綱領(1875)やエルフルト綱領(1891)といった文書が採択された」
日本共産党が理論的基礎としている科学的社会主義の創設者の一人であるエンゲルスは、党の綱領とうのは「公然と打ち立てられた旗であって、世間はこの旗によってその党を判断します」という言葉を残しています。
今回の党綱領一部改定にあたってもこうした、「綱領」に対する基本的な立場をふまえて提起されたもの考えています。
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