「しんぶん赤旗」16日付に、元為替ディーラーで、現在は大阪経済大学客員教授、経済評論家の岩本沙弓さんのインタビュー記事が掲載されました。岩本さんは、為替ディーラーの経験から、消費税について適切な指摘をされていると思います。具体的な消費税の不公平な仕組みとして、輸出還付金の問題を指摘しています。「消費税には、輸出還付金という制度があります。輸出大企業の所在地の税務署は赤字です。徴収するより還付する方が多いからです。他方、消費税は町の小売店とか中小・零細企業に重いインパクトがありますね。大企業に値切られ過酷な価格競争に巻き込まれ、自腹を切って消費税を負担しています。不公平な税制です。消費税の引き上げはやめるべきですし、消費税そのものも無くした方がいいと思います」語っています。
(※)輸出還付金(輸出戻し税)=輸出品に課税しないという国際的ルールのもとで、輸出業者が仕入れの際に払った消費税分が「損」になるため、税務署がその分を還付する仕組みです。実際には大企業は下請け単価を買いたたいき、払わなかった消費税分まで還付されているのが実態です。
また、岩本さんは、「アベノミクスで消費税増税とTPP参加と両方やろうとしていますが、矛盾した政策を同時進行させるようなものです。消費税増税は海外からの人から見たら関税の引き上げなんですね。たとへば5000円の輸入品は税率5%で5250円だったものが、10%になれば5500円に値上がりします。TPPで関税を下げようとしている時に整合性がとれません。なぜか。それは、二つの政策がそれぞれ誰かの利害を代表しているからです。消費税増税は国内の輸出大企業の利益を尊重した政策で、TPPはアメリカのメリットのためです。問題は二つの政策のしわ寄せが、大きな声を出さない一般国民に全部いってしまうことです」
そのうえで、岩本さんは、つぎのような提案しています。「中間層、弱者層にもきちんと所得が行き渡り、それで経済活動を営んでいく形が日本経済も世界経済もベストです。ところが日本はここ10数年来、強者と弱者へ二極化が進み非常に偏ってしまいました。大企業は巨額の配当金を受け取り、内部留保を抱えています。その一部を国内の労働者に配るという配慮や正当な税金を払うという社会貢献が、日本を経済活動の基盤としているならば必要ではないでしょうか」。 全く同感です。全文は「しんぶん赤旗」16日付、9面をご覧ください。