じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

藤田祐樹「ハトはなぜ首を振って歩くのか」

2021-06-23 09:47:24 | Weblog
★ ある中学校の2年生の期末テストの範囲に、藤田祐樹さんの「ハトはなぜ首を振って歩くのか」(東京書籍「新しい国語2」、本作は教科書のための書下ろしだという)が入っているので読んでみた。

★ 改めて問われてみれば、ハトの歩行スタイルは印象的だ。形態模写をするタレントもいたような。

★ 何でもないような日常の疑問にこだわり、仮説を立て、実験や観察で確かめるというところが、凡人と科学者の違いだ。藤田さんは1975年に行われたイギリスのフリードマンの実験を紹介する。フリードマンは、3つの仮説を立て、実験で実証を試みる。

★ この仮説(実験)は少々わかりづらいが、要するにハトが首を振るのは、移動する速度の変化に刺激を受けての行動でもなく、足と首の運動の連動でもなく、景色を目で追うことによるものだということが実証されたという。

★ では、なぜ景色を追うのに首を振る必要があるのか。藤田さんは、ハトの目の向き(人の目は前方を向いているのに対して、ハトの目は横か斜め前方を向いている)、そして眼球の形態の違いを指摘する。

★ 目の付き方は中学校の理科で学ぶ。肉食動物が前方にあるのに対して、草食動物は横にある。肉食動物は捕食のために遠近感を重視するのに対して、草食動物はそうした敵から身を守るために視野を広くしているのだ。

★ 論稿は国語の教科書らしく、終盤で要領よくまとめられている(ここだけ読めば、良いようなものだが、それでは味も素っ気もない)。

★ そう言えば、馬も歩く時、首を振っているような。馬と言えば、その走り方を動画で研究した人もいたなぁ。人間が歩く時、手足を逆に出すのも何か意味があるのだろう(同じだと歩きにくい)。

★ 「気になったことがあれば、自分の目で見て、自分の頭で考える。それが科学の第一歩だ」と筆者は言う。いい勉強になった。

★ こんな純粋な話とはどうも真逆なのが人間、組織の行動だ。森友公文書問題で国が「赤木ファイル」を公開したという。財務省(理財局)の組織的隠ぺいが印象的だった。出世のために時の政権に忖度するキャリア官僚、良心の呵責に堪えながら、指示に従わざるを得なかった現場職員。結果は現場担当者の死という形になってしまった。(映画やドラマのような筋立てだ)

★ 上級官僚はこれほどまでのことをして何を隠蔽しようとしたのか。そしてそれは何のためか。自然科学とは違った切り込み方がありそうだ。(真実を追うのがジャーナリズムの使命で、(官僚)組織や人の心理を追究するのは学問の使命か)。
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