じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

鴨長明「方丈記」

2021-06-26 14:20:47 | Weblog
★ 今朝、師の訃報を聞いた。公教育経営研究の第一人者で、学生時代から何かにつけご指導いただいた。数年前から闘病生活に入られ、余命半年と告知されたが、それから4年。病の身でありながら、父親の介護をする私をお気遣い下さる優しい方だった。遂にお別れの時が来てしまった。多くの弟子が訃報に触れ、先生との思い出に涙していることであろう。

★ 「朝に死に、夕に生まるる」は人の世の姿だという。先日、ユーチューブで養老孟司さんの「方丈記」の講演を観た。「方丈記」の中に人の世のことがすべて書かれてあるという。

★ 今までも断片的には読んでいたが、改めて鴨長明「方丈記」(角川文庫)を読んだ。

★ 「ゆく河の流れは絶えずして」で始まる日本三大随筆の1つ。仏教の無常観を背景に、50歳で出家し、市中から離れた小さな庵での遁世生活を書いている。60歳頃の作というから、死を迎える少し前か。世を捨て執着に見切りをつけ、心静かな生活を志向しながら、それでもささやかな執着から逃れられない自分自身を顧みている。

★ 「方丈記」を書き残すこと自体が、今世への執着の表れだが、そのおかげで、800年を経て、私たちは彼の心境を垣間見ることができる。

★ 人の世は無常だが、それでも天寿を全うするまで生きなければならない。いや、生きることを労苦と捉えるのは悲しい。来世への修行と捉えても良いが、それもつまらない。労苦を楽しみ、修行を喜びとするような境涯に入りたいものだ。きっと「あるがまま」で良いのだ。考えすぎず、日々楽しく生きることが何よりの修行なのだ。

★ 解釈の教育学から変革の教育学へ。この課題に挑み続けられた師の著書を読み返してみようと思った。
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