☆ 大江健三郎さんの「死者の奢り」(新潮文庫)を読んだ。
☆ 死体処理室のアルバイトに従事する主人公の視点から見た「人間」のあり方が書かれてあったように思う。
☆ 小林秀雄は「無常という事」(角川文庫)の中で、「死んでしまった人間というものはたいしたものだ。なぜ、ああはっきりとしっかりとしてくるんだろう。まさに人間の形をしているよ。してみると、生きている人間とは、人間になりつつある一種の動物かな」(62頁)と書いている。
☆ 「死者の奢り」は、主人公の「僕」たちがもはや「物」となった死体に対峙し、妙な親近感を抱く。死体は何も語らず、冷徹なまでに沈黙を保つが、そのことが多くを語っている。
☆ 思いが揺れ動き、気持ちが錯綜しお互いに理解しあえず、まさに無常の象徴であるかのような「人間」。それを「物」と化した死体が絶対的な冷ややかさで観察しているような気がする。
☆ 死体を「物」としてトラックに運ぶ「作業」は、アウシュビッツを思い起こさせる。
☆ 普通「して」と表記する所を「し」と表現しているのが印象的だった。
☆ 死体処理室のアルバイトに従事する主人公の視点から見た「人間」のあり方が書かれてあったように思う。
☆ 小林秀雄は「無常という事」(角川文庫)の中で、「死んでしまった人間というものはたいしたものだ。なぜ、ああはっきりとしっかりとしてくるんだろう。まさに人間の形をしているよ。してみると、生きている人間とは、人間になりつつある一種の動物かな」(62頁)と書いている。
☆ 「死者の奢り」は、主人公の「僕」たちがもはや「物」となった死体に対峙し、妙な親近感を抱く。死体は何も語らず、冷徹なまでに沈黙を保つが、そのことが多くを語っている。
☆ 思いが揺れ動き、気持ちが錯綜しお互いに理解しあえず、まさに無常の象徴であるかのような「人間」。それを「物」と化した死体が絶対的な冷ややかさで観察しているような気がする。
☆ 死体を「物」としてトラックに運ぶ「作業」は、アウシュビッツを思い起こさせる。
☆ 普通「して」と表記する所を「し」と表現しているのが印象的だった。