じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「刺青(しせい)」

2017-10-07 19:08:03 | Weblog
☆ ちょっと変わったところで、谷崎潤一郎の「刺青」(新潮文庫)を読んだ。

☆ 谷崎の処女作と言われる作品らしい。作品にはスキがない。今のライトノベルとは違って、一語の密度が大きい。濃い茶をすするような感じだ。言葉の意味を理解するのにも苦労する。とはいえ、その文章は実に艶っぽい。色香が漂う感じだ。

☆ さて、刺青師(ほりものし)の話。若いが腕利の清吉は、ある女性を見初める。顔かたちではなく、その肌に惚れる。

☆ 機会があって、その女性(まだ16歳か17歳)の背中に刺青を彫る。自分の魂を込めて、大きな女郎蜘蛛を彫った。

☆ 光が効果的だ。

☆ 清吉は「芸術」などといった言葉を知らなかったであろうし、後世に自分の名を残そうとも思ってはいなかったであろう。ただ彫りたかった。彫らずにいられなかった。理屈のないその衝動が、彼を動かした。「美」という化け物の虜になってしまったのだろう。




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動揺

2017-10-07 17:11:24 | Weblog
☆ 「希望の党」が自民党に接近している気がする。反安倍政権ではあるが反自民党政権ではなさそうだ。首班は自民党の石破氏という名前も上がってきた。

☆ 当の石破氏は迷惑なのか歓迎なのか。

☆ かつて、橋下氏が率いる維新が上り調子だったころ、安倍氏を首相候補に新党をといった話も聞かれた。そう考えるとおあいこだ。

☆ ところで、「希望」の公認をもらった民進党議員には動揺が見られる。地元に戻ると逆風にさらされ、自民党寄りには「話が違う」ということか。更には「立憲民主党」の上げ潮だ。「早まった」と後悔している前議員も多いのでは。

☆ せめて、希望の公認は断り無所属でという人も現れそうだ。
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総理の椅子

2017-10-07 10:02:22 | Weblog
☆ 田中角栄が金脈問題で退陣した後、その後には4人の後継者が控えていた。福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘、三木武夫である。

☆ 次に総理の椅子に座るのは誰か。公選か話し合いか。権謀術策が繰り広げられる中、椎名悦三郎副総裁は、三木を指名する。いわゆる椎名裁定である。

☆ 総裁選なら田中派の支持を得て勝てると確信していた大平は田中邸を訪れる。そのとき田中はこう思ったという。

☆ 「大臣、実力者は、その人間の力量、器量、努力で、そうなれる、しかし総理・総裁になるには、半分以上、運命だ」(「小説吉田学校 第四部 金脈政変」角川文庫)と。

☆ 田中は運命の不思議な作用を噛みしめる。


☆ 運命と言えば、それはその後の政界にも見られる。大平正芳は総理の椅子についたが、1980年の衆参ダブル選挙の最中に急死する。70歳だった。田中派の流れをくみ橋本龍太郎のあとを継いだ小渕恵三は、2000年、脳梗塞に倒れ、翌月死去する。62歳だった。今から思えば、お二人とも若い。歴史に「たら」は禁物だが、もし大平氏や小渕氏が倒れなければ、その後の政治状況はどうなっていたであろうか。

☆ トップが倒れてもすぐに後継者が現れるのは、さすがに自民党だ。大平のあとは同じ派閥の鈴木善幸が、小渕のあとは清和会(森派)の森喜朗が継いだ。


☆ 今回の総選挙、安倍政権の継続、憲法改正が争点だ。自民党がどれだけ負けるのか。それが先を決める。「安倍おろし」が起きるのか、「希望の党」や「維新」との連携はあるのか。公明党との関係はどうなるのか。退陣となれば、次は誰か。岸田氏か石破氏か。野田氏はどちらにつくのか。石破氏なら「希望」との連立はあるのか。そして予想に反して、もし勝てばどうなるか。

☆ 「希望の党」は、選挙後に再編の第二幕が始まるのか。次の総選挙で小池氏が総理の椅子を目指すのか。小池氏の後継は誰か。「希望」生粋組と民進からの転身組との軋轢は起こるのか。

☆ 立憲民主は護憲勢力の結集を図れるか。

☆ 公明党、共産党は組織政党なので後継者の心配は少なさそうだが、問題は支持層の高齢化だろう。


☆ 歴史には「たら」と同様に、「れば」も無意味かも知れない。

☆ マルクスは「哲学者たちは世界をさまざまに解釈したにすぎない。大切なのはしかしそれを変えることである」(「フォイエルバッハに関するテーゼ11」)(エンゲルス著 松村一人訳「フォイエルバッハ論」岩波文庫 所収)と言った。

☆ 肝に銘じたい言葉だ。
  
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