「おとしゃん、なんで笑いをこらえているの」
暑いから、源太郎の頭がおかしくなったのではない。たった二行のイタリアンジョークが気に入り、笑いをこらえているのだ。
「子供にはわからないことさ」
「何、何。教えて」
「じゃ、原文で」
「Che differnza c'e tra una fata e una strega?」
「Dieci anni di matrimonio.」
「わかんないよ。ラウラにこそっと教えて」
「ちょっと考えてみて。おとしゃんは音楽を聴いているので」
「うぅーんと、fataは妖精だよね、そして美人ていう意味もあるよね」
「まぁ、妖精と解釈していいんじゃないかな」
「stregaというと。ちょっと辞書貸して・・・魔女って意味だね」
「普通はそう考えるけど、おとしゃんが大好きなブログのオーナーさんの魔女さまとラウラの師匠に怒られるからそう訳してはダメ。ここでは、鬼婆と訳す方がいい。辞書にも書いてあるだろ」
「そうだね。じゃこんな訳? 妖精と鬼婆の違いは何なの ということ」
「いいね。で、次がオチだよ」
「Dieci anni で10年、matrimonioは結婚生活・・・意味わかんない」
「だから、子供にはわかんないんだよ」
「どうゆう意味なの」
「妖精と鬼婆の違いは何に。それはね、結婚して10年経てばわかるよ。という意味さ」
「じゃ、おかぁしゃんはどっち」
「うんーん。40年近く一緒にいるけど、まだわかんないなぁ(無難な答え)」
「じゃ、おとしゃんはバカなんだ」
「そうしておけば、おとしゃんはいつまでもprincipeで居られるからね」
「大人っていうのは大変だね。付き合ってあげたから、おやつちょうだい」