見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

平家の華・平泉の華/千葉市美術館

2005-05-10 12:21:01 | 行ったもの(美術館・見仏)
○千葉市美術館『義経展 ~源氏・平氏・奥州藤原氏の至宝~』

http://www.city.chiba.jp/art/

 タッキー義経は相変わらずの人気のようだ。大河ドラマも視聴率もまあまあの水準を維持している。というわけで『義経展』も老若男女で混雑していた。『新シルクロード展』も盛況だったし、NHK、商売うまいな、と思った。

 しかし、本当のところ、「商売がうまい」のは、美術館のほうかもしれない。この展覧会、実際の見どころは「平家一門の栄華」と題した厳島神社の奉納品と、「奥州藤原氏と平泉の黄金秘宝」と題した平泉関連の品々であろう。古美術ファンには、まさに垂涎の、王朝美術工芸の精華を味わうことができる。しかし、「義経」のネームバリューがなければ、これだけの観客を引き寄せることはできなかっただろうと思う。

 平泉ものでは、迦陵頻伽(かりょうびんが)を刻んだ、団扇形の金銅華鬘の美しさ。嬉しいのは、複製品によって、造られた当時の黄金の輝きを追体験できることだ。厳島関連では、一巻だけだが、国宝「平家納経」が出品されている。見返しに山林の僧侶を描いたもので、華やかさには欠けるが、ちょっと珍しいと思った。同時に、美術研究家・田中親美による復元模本の素晴らしさに目を見張った。もしかしたら原本も、これほどの美しさは持たなかったのではないか?なんて、ふと倒錯した感慨にとらわれる。こういう気合いの入った作品なら、複製展示でも大歓迎できる。

 色鮮やかな絵巻、絵本、屏風なども楽しかった。私は平家物語は原文を読んでいるので、かなりマイナーな場面でも、誰のどんな場面か言い当てることができる。しかし、御伽草子系統の義経伝説になると弱い。たくさん出ていた奈良絵本について、せっかくなら、もうちょっと親切な場面解説があればいいのにと思った。
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