見もの・読みもの日記

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東国の名宝をチェック/法然と親鸞 ゆかりの名宝(東京国立博物館)

2011-11-02 23:45:34 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館 法然上人800回忌・親鸞聖人750回忌 特別展『法然と親鸞 ゆかりの名宝』(2011年10月25日~2011年12月4日)

 春に京博の『法然』と京都市美の『親鸞展』を見てきたので、この二つが合体して、東博の『法然と親鸞』になるのだろう、と考えていた。だから、どうせ既視感のあるものばかりだろうと思っていたら、意外と予想より面白かった。

 京博の『法然』は、知恩院蔵『法然上人絵伝』とその類本に描かれた法然の生涯を軸に、展示が進んで行く。わりと生真面目な構成だった。東博は冒頭に、ええと、どれだっけな、浄土図か何かが掛けてあって、ふと足元を見たら、左が赤、右が青に塗り分けられており、中央に一本の白い道が通っている。おお、全体でリアル二河白道図か!と私は気づいたけど、周りは誰も気づいていなかった。入ってすぐ「二河譬のあらすじ」の説明パネルがあって、ちゃんと立ち止まってそれを読んでいる観客は多いのだけどね…。以下に『二河白道図』が数点。京都・光明寺本は、現存する最古の(←日本で?)二河白道図だそうだ。私は京博でも見ているはずだが、この説明には気づかなかった。

 法然上人像は、京博で見られなかった「足曳御影(あしひきのみえい)」が見られて、嬉しい。あと、なんだこの華やかな出で立ちは!?と思ったのは、茨城・常福寺に伝わる上人像。『上人絵伝』は、各種伝本の扱いが大きい。国宝・知恩院本を補完するというより、それぞれに個性を競い合わせるような展示だった。増上寺本って13世紀にしては料紙がキレイすぎると驚いたり、東本願寺・弘願本のユニークさ(梅の花の描写)に吹き出したり、京都・仏光寺本の、鼻をかむ(?)僧侶の姿に狩野一信の羅漢さんを思い出したり、楽しかった。

 個人的に一押しは、滋賀・錦織寺の『錦織絵伝』(親鸞上人伝)。やや劇画調で、これも一信を思い出すところがある。二押しは、西本願寺蔵『親鸞聖人絵伝』6幅。甲斐・万福寺に伝わったもの。京都市美の『親鸞展』にも出ていたらしいが、私は展示替えで見そこねていた。以上、2点は掛け軸。
 
 東博展には、京博になかった東国寺院の仏像や高僧像がたくさん出ていて、面白かった。特に高僧像は、鎌倉写実彫刻の妙を味わうことができる。茨城・円福寺の阿弥陀三尊像は、龍谷ミュージアム『釈尊と親鸞』でも印象的だったもの。彫刻作品の「目玉」は、鎌倉・浄光明寺の巨大な阿弥陀三尊坐像。鎌倉へはよく行くので、あら、お久しぶり、という感じである。いつものお堂では分かりにくい土紋装飾が、明るい照明の下で、非常によく分かるのがありがたい。鎌倉といえば、『浄土五祖絵伝』や『当麻曼荼羅縁起』も国宝館でおなじみの作品だが、こんなに気前よく開いてくれることは少ないので堪能した。

 実は、事前に同展のサイトを見たとき、京都・金戒光明寺の『地獄極楽図屏風』(~11/13)が見たくて、前期に行くことに決めたのだ。ところが、なかなか現れないので心配していたら、出口近くに登場。こんなに小さい屏風なのか、と印象とのギャップに面食らった。そして、最後の作品が、知恩院の『阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)』。「お迎え」の作品で送り出される演出が、ちょっと愉快である。あ、もしかすると、冒頭の「二河白道図」(極楽往生の図)につながって、円環しているのかもしれない。

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