見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

京都・清水寺展/そごう美術館

2006-03-28 23:37:08 | 行ったもの(美術館・見仏)
○そごう美術館 奥の院御本尊開帳記念『京都 清水寺展』

http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/06/0302_kiyomizu/index.html

 終わってしまった展覧会だが、週末に見てきたので、書いておこう。「奥の院ご開帳記念」と聞いて不思議に思ったが、2003年のご開帳に関連して、各地で出開帳を行っているのだそうだ。2003年の清水寺には行ったと思うが、奥の院の建物の記憶がないので、調べてみたら、仏像を他のお堂に移して公開していたようだ。

 2000年の本堂ご本尊ご開帳(33年に1度)の感激は、今も忘れていない。それに比べると奥の院は、千手・毘沙門・地蔵の三尊に、二十八部衆と風神・雷神まで揃っているのだが、本堂の諸像に比べると、ひとまわり小粒で、質も落ちるのである。というわけで、この展示会には、さほど期待していなかったのだが、「やっぱり、いい」という友人の話を聞いて、最後の週末に見に行った。

 会場に入ると、等身大に近い、風神・雷神・二十八部衆の一部が待っている。これは奥の院ではなくて、本堂の諸像だ。ちょっと興奮。しかも、堂内では絶対に不可能な至近距離まで、にじり寄ることができる。かっと開いた風神の口の中には、尖った牙が並んでいる。肩に担いだ風袋には、雲龍文が浮き彫りされていて、素材は革か錦か、いずれにしても丈夫そうな厚手の袋である。

 目を凝らすと、どの彫像の装束も、細部まで美しい文様で彩られていたことが分かる。毘沙門天は、縞や菱形つなぎの幾何学文と花鳥文の組み合わせが、ばさらでマニエリスティックである。迦楼羅(かるら)神の腰帯には、獣頭の帯飾りが付いており、帯飾りの垂れた部分には、ちゃんと毛並みが描き込まれている。

 奥の院の諸像は、さらりと見て、気になったのは、ふだん宝蔵殿に安置されているという、不動明王像と大黒天半跏像。どちらも平安仏で、穏やかな顔をなさっている。しかし、大黒天の半跏像というのは記憶にない。背筋をピンと伸ばし、左手に宝棒、右手に金玉袋(と書いてあった)を持ち、しかも、それを膝につけず、中空に持ち上げている。福岡・観世音寺の大黒像とか、奈良博の走り大黒とか、古代の大黒天って不思議だなあ。

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