見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

九博への期待/東京国立博物館

2005-02-27 19:12:25 | 行ったもの(美術館・見仏)
○東京国立博物館 特集陳列『ホップ・ステップ・九博』展

http://www.tnm.jp/

 ”九州大好き!”な私は、2005年10月の九州国立博物館の開館を心待ちにしている。そこで、今回の特集陳列を、さっそく覗きに行ってきた。そしたら入口付近は「唐招提寺展」と「踊るサテュロス」の宣伝ばかりで、あれ?九博展はまだ始まってなかったかしら?と、ちょっと不安にさせられた。

 本館1階の1室と2階の1室を使った小規模な展示である。1階は青銅器が中心だが、彩画鏡(銅鏡の上に彩色したもの)というのを初めて見た。おお、装飾古墳で知られる九州っぽいなあ、と思ったら、中国の出土品だった。

 福岡県にある装飾古墳、王塚古墳をデジタル復元したビデオ展示は興味深かった(東大生研の某研究室、トッパンなどの共同事業)。先週、NHKの『シルクロード』でもベゼクリク石窟の壁画の復元をやっていたなあ。所詮、復元は復元に過ぎないということは念頭に置きつつ、こういう試みは楽しみたいと思う。なお、王塚古墳の場合、本物は春秋の年2回、公開されるのだそうだ。また行きたいところが増えてしまった~。

 出色だったのは「装飾古墳をつくろう」という体験コーナー。装飾古墳に使われた絵画や文様をマグネットにしたものが一揃い置いてあり、台紙に貼り付けて、自分の装飾古墳をデザインするというもの。色鮮やかなキットがとってもかわいい。「よ~く見ると馬には男の子と女の子があるんですよ」と解説のおばさんが教えてくれた。

 2階は大宰府関係の文物。ここでも鬼瓦の複製品に触れたり、一定の区画に三角や四角の磚(せん)を敷き詰めるジグソーパズルなど、楽しい体験ものが待っていた。

 そのあと、ざっと流し見た平常展では、国宝室の「藤原光能像」(神護寺蔵)が思わぬ拾いものだった。東博所有の国宝しか展示しないのかと思っていたら、よその国宝もときどき出すのね!

 仏教美術の部屋では、名品「遊行上人伝絵巻(甲)」を見ることができた。ものを食う人々、もしくは食うことの期待に満ちた人々の、活気と生命力にあふれる場面が開かれている。お堂の中で箸をとる遊行上人と僧侶たち、庭先で忙しく給仕に立ち働く人々。続いて、炊き出しを取り巻く3つの輪が描かれる。最初の輪は、僧侶と庶民たち。次の輪は乞食たち。めくらやいざりの姿も交じる。そして、最後の輪は癩者たちなのであろう、白い布を顔や頭に巻いた人々。どの人物も、それぞれに生き生きした個性が想像されて見飽きない。
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