見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

札幌のせんべいと焼き饅頭/まち文化百貨店(まち文化研究所)

2019-07-23 22:09:39 | 読んだもの(書籍)

〇塚田敏信、まち文化研究所編集『まち文化百貨店』 まち文化研究所 2019.6

 先週、小樽市の小樽文学館を訪ねたとき、カウンターで500円で販売していたB6判(たぶん)の100ページほどの冊子。表紙の焼き菓子の写真がおいしそうだったので買ってしまった。表紙以外は白黒印刷だが、写真も多く、イラストもあり、私家版にしては凝っている(写真は残念ながら見つからなかった)。発行者は、札幌で「まち文化」をテーマにした展示・講演・参加型イベントなどを実施している団体らしい。単発のブックレットなのか雑誌なのか、よく分からないが、特集は「やっぱり、おやつが好き」。

 最初の特集は「せんべい」で、東京育ちの私は、せんべい=米菓=醤油味しか考えられないのだが、そういえば北海道には、麦(大麦、小麦)からできるせんべいが多かったように思う。千秋庵の銘菓「山親爺」は甘いほうの代表。甘くないほうには、ひねりあげの「横綱」がある。横綱?と不審に思ったが、かりんとうの老舗・オタル製菓の「Yokozuna」の写真を見て、あったあった、と思い出した。ゴマ入り、カボチャの種入りなど、さまざまなかわらせんべいを揃えた我国煎餅店の商品も、たぶん職場のおやつなどで食べたなあ。

 第二特集は「冨士屋のとうまん」。札幌の丸井今井デパートで、自動焼き機を使って実演販売をしているもの。小麦粉・卵・砂糖などのカステラ種で白餡を包んだお饅頭で、表に「とうまん」の焼印が押されている。「とうまん」の由来は唐饅頭らしい。同類のお饅頭は全国にあって、私は京都・新京極の「ロンドン焼」を最初に知ったが、東京・東海地区では「都まんじゅう」を名乗るものが多いみたい。本誌によると、小樽・赤岩の「メタルアート」は、さまざまな焼印を制作しており、「とうまん」のほか、和菓子「とらや」の焼印、築地名物の卵焼き(どこだろう?)の焼印も制作しているそうだ。

 滝上町郷土館のルポも面白かった。筆者はこの郷土館で「ご家庭用煎餅の焼き型」を大量に見つけてびっくりする。しかし筆者が、自分の家にも、よく「今川焼」とか「おやき」などと呼ばれる菓子の型ならあった、と書いているのに私は驚いてしまった。しかし煎餅を家で焼くとは…と筆者は驚いているのだが、私にしたら、家庭で煎餅を焼くのも今川焼を焼くのも、同じくらい驚きである。この「何でも家庭でつくる」精神、北海道らしい。

 北海道神宮の献菓祭ルポも面白かった。札幌市内菓子販売店リストは労作。観光客の行く六花亭や石屋ばかりが菓子屋ではないのだな。

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