いつぞやのブログで、レコード盤をレーザー照射で再生する「レーザーターンテーブル」を話題にしたことがあるが、いまだにちょくちょくアクセスがあったりして、それもかなりまとまった数。
このユニークなオーディオ機器に対して興味を持つ方が絶え間ないようだが、自分は残念なことに試聴したことがない。
お隣の福岡でメーカー主催の試聴会が度々実施されているようで案内状が来るが、わざわざ出かけていくのが億劫なのでつい行きそびれている。
製品化されて10年以上も経過しているので、もしかすると全国各地で試聴行脚を繰り返されている湯布院のA永さんならその音質を既に聴かれたかもしれないと思いお尋ねしたところ予想通り試聴済みだった。
それも県内に既に購入者がいて聴かせてもらったとのことで二度ビックリ。「どうでした?」と問いに対してAさんの回答は次のとおり。
「レーザーターンテーブルは都合3回聴きました。一度目はレーザー照射が3本の時代でこのときは正直言ってあまり音が良くないと感じました。二度目はレーザー照射が5本(現行)のときでこのときには、前回よりも随分進化していて驚きました。自分でも欲しいと思ったくらいですが、何せ200万以上という価格がネックで諦めました」とのこと。
話がやや逸れるが、二度目のときの試聴は県内K市にあるリゾートパークの社長さんが保有されていたのをご自宅で聴かせてもらったそうで同伴したのが県内の地元新聞社のオーナーで二代目のN社長さん。
このN社長さんはオーディオの世界ではつとに知られたウェスタン社(アメリカ)の製品の大の愛好家で、同社が販売したすべての機器を取り揃えているとのことで新聞社が入った大きなビルの一室に厳重な空調管理のもとでずらりと機器が勢ぞろいしているとのまことしとやかな噂がある。
因みに現役時代に自分が仕事で上京したときにウェスタン製品を専門に取り扱うショップに立ち寄ったときに「大分県から来ました」といったら、店主がすぐにN社長の名前を挙げたので驚いたことがある。いわゆる「VIP」なので、おいそれと近づきがたいが、いずれ音を聴かせてもらう機会があればと狙っているところ。
さて、話は戻ってK市における試聴のときに丁度メーカーの関係者もいて、話が発展し今度は湯布院の、とあるオーディオ愛好家の家で試聴しようということになり、三度目の試聴会が実現した。
そのときには、同一曲目を次の4種類により試聴を行った。
1 SP(78回転:蓄音機による試聴)
2 SPから焼き直したLP(レコードプレーヤーによる試聴)
3 アナログ音源から焼き直したCD(CDプレーヤーによる試聴)
4 SP(レーザーターンテーブルによる試聴)
A永さんによると、音に一番力があったのは1のSP、次いで4のレーザーターンテーブル、その次が僅差で2のLP、一番悪かったのがCD。
結局、1→4→2→3の順番で、周波数レンジよりも力感を何よりも重視されるA永さんらしい選択。
現在では当時の200万超から随分と価格がこなれてきておりレコードを沢山持っている方は購入しても損はしないだろうし、実をいえばご本人も欲しいそうだ。とにかく実力がある製品の割にはまだあまり知られていないので、もっと世に出て取り上げられるべき製品との結論。
以上のとおり、レーザーターンテーブルの音質はオーディオ体験豊富なA永氏の保証付きだから非常に身近に感じるが、もし購入したとしてもこれからレコードを再び収集するのもかなり面倒でもある。
自宅の倉庫に100枚ほど保存しているが今やCDの方が圧倒的に枚数が多いのが現状。しかしオークションではレコードがまとめて二束三文で売られているようなのでその気になれば収集は可能。
さて、同じオーディオ仲間のM崎さんに意見を求めてみると、あっさりと「聴いたら絶対に欲しくなるので見ざる、聴かざるが一番いいよ」とのご託宣。
ウーン、そういう選択肢もあるのか!
たしかに、「知ることの幸せ」もあるが「知ってしまったばかりに思い悩んだりガッカリする」ことだってある。
この歳になると「知らないでいることの幸せ」というのを時折り感じる。むしろ世の中こちらのケースの方が多いかもしれない。
たとえば「天井が高くて広い部屋でのオーディオ装置の音」を他家で聴いたりすると、今さらだが音質に占める部屋の決定的な役割に思い至って自宅の改造という話になるのは分かりきっているが、これはもう絶対に無理!
それに「昔、大好きだった女の子の現在の素顔」などを見たりすると、もう・・・。
これは、いろんな観点から掘り下げると面白そうなテーマだが、なんだかオーディオ談義が人生談義みたいになりそうなのでこれにて打ち切り~。