前回からの続きです。
オーディオ仲間によると「ワーフェデールは古き良きブリティッシュサウンドの代表格ですね」とのことだが、その口径30センチのユニットをオークションで無事ゲットして順調に我が家に到着。
さっそく予備の専用のバッフルの穴あけに取り掛かった。簡単な塗装と合わせて2時間ほどかかって完成後の画面がこれ。
専用のエンクロージャー(自作:底板にARUを取り付け)には「鬼目ナット」を埋め込み、ネジ穴を合わせて3種類のユニットをバッフルごと入れ替えができるようにしている。
画像の左から「D123」(JBL)、「ワーフェデール」、そして「AXIOM150 マークⅡ」(グッドマン)。
JBLとグッドマンの音は熟知しており、何ら不満はないがワーフェデールからどういう音が飛び出すのかハラハラ・ドキドキ・ワクワク~。
インピーダンスが前二者は「16Ωと15Ω」だが、ワーフェデールは「8Ω」なのでネットワークの交換が必要になる。
ここで鳴らし方に4つの選択肢が出てくる。
1 フルレンジで鳴らす。オーディオは「音源が一つ」が理想なのでこれが王道である。
2 フルレンジで鳴らしたままローカットしたツィーターを追加して鳴らす。
3 クロスオーバー4000ヘルツ前後(12db/oct)のネットワークを使って2ウェイシステムを構築する
4 低音域だけネットワーク(4000ヘルツでハイカット)を使ってハイカットし、高音域は別途に良質のコンデンサーでローカット(6db/oct)する。この方式は、コンデンサーの容量次第で高音域の音量調整を自由にできるメリットがある
それぞれ一長一短だが、今回は4でいくことにした。1~3はゆっくりと時間をかけて後日検証することにしよう。
そういうわけで、まずはネットワークの交換(インピーダンス:8Ω用)から始まった。
前回のブログで述べたようにツィーターは同じワーフェデールの口径10センチのユニットなので、今回はまさに「純正の組み合わせ」といえる。
ちなみにツィーターのローカット用のコンデンサーには「ブラック仕様」(ウェスタン製)を2個パラって計7μF(マイクロファラッド)前後とした。
簡単な結線を済ませて、出てきた音を聴いたとたんに「これは素晴らしい!!」(笑)。
出品者様(元の持ち主)が「水彩画のような気品あるイングランドトーン」と評されていたがまさにその通り。
どちらかといえば淡い色調の細身の音ですっきり感が漂う、そして控えめな自己主張の中に何ともいえない気品が満ち溢れており、弦楽器はことさらに艶があって瑞々しい。自分が理想とする「爽やかな風のように吹き抜けていくサウンド」としては満点に近い。
この音を聴くと、グッドマンは濃い色調の油絵みたいに映るし、JBLは現物に忠実な写実的な絵画を思わせる。
いずれも好き好きだが、自分にはワーフェデールが一番相性が良さそうで、これは永遠のシステムになりそうだ。
ところが「好事魔多し」(笑)~。
そのうち、左のチャンネルから弱音時にガサゴソと小さなノイズが発生するではないか!
いい音がするユニットほど繊細なツクリなので故障しやすいことはAXIOM80の例を見るまでもない。ひたすら故障しないことを目的として作られる工業製品とスピーカー製品との一番の違いはそこにある。
したがって、スピーカーには「ハイリスク ハイリターン」がつきものだ。
すでに出品者に対して「非常に良い評価」(オークション)を済ませているのだが、改めて「片方の1本からノイズが発生します。いかがしましょうか」と、持ち掛けたところ予想した通りとても誠実な方だった。
すぐに返信が来て、次の3つの選択肢を提示された。
1 「契約の解除」 2 「同一ユニットのスペアがあるので交換」 3 「入札額の半分を返還する」
もちろん、2の「スぺアとの交換」を選んだのだが、出品者様が仰るには「ほんのちょっとしたノイズならバッフルへの取り付け角度を変えたら治る場合がありますから試してください」。
そういえば、あのデリケートな「AXIM80」でも似たような経験があったので、バッフルへの取り付け角度を上下逆にしたところすっかりノイズが収まってしまった。これにはうれしい悲鳴。
さっそく出品者様に連絡した。
「お説の通りにしたら治りました。おそらく輸送中の影響でコーン紙に歪みが出ていたのでしょう。かなり繊細なユニットですね。しかし、今後に不安が残りますし音質的には大変気に入りましたので、よろしかったらスペアの分も適価で譲っていただけないでしょうか?」
たいへん虫のいいお願いをすると、次のようなご回答をいただいた。(要旨)
「まずは一安心といったところでしょうか。Wharfedale のクロスエッジは柔らかめですので、12インチとなると、こういうことも起こるんでしょうね。柔らかめのエッジは、Wharfedale 社がエッジに関してはHigh Sensitivityを何より重視していた会社だったからだと思います。
さっそく明日スペアの方を送付しますのでマッチングを試してみてください。お値段はそれからのご相談ということにしましょう。」
もちろん異存はない。ほんとうに稀にみる誠実な出品者様だった。
ちなみに前回のブログを読まれたメル友の「お二人」さんから、相次いでご連絡があって「出品者は〇〇県の〇〇様でしょう。自分も希少なユニットを落札したことがあります。続編がとても楽しみです。」。
ビンゴ!(笑)。どうやら「スピーカー好き」の間ではたいへん著名な方のようだ。
それにしても、ちょっとした故障らしきもののおかげで予備のユニットまでもが手に入ることになったのだから、うれしさもひとしおである。
これこそまさに「禍福は糾える縄の如し」(笑)。