「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

1に健康、2,3が無くて4が「音楽&オーディオ」

2022年03月03日 | 独り言

2月28日(月)から「2泊3日」の小旅行に行ってきました。

行く先は?

残念なことに「
病院(検査入院)」でした(笑)。

診察結果によると11年前に心臓に「ステント」を入れたときよりも症状が悪化しているとのことだが、自分にしてみればよくぞまあ「11年も持ってくれた」という気持ち~。

で、新たにステントを追加ということで、これから3週間おきに2回入院ということになりました。

どうやら食生活を含めて生活スタイルを変えた方がよさそうだが、何よりも楽しい「食」が制限されるのは嫌だなあ~。

まあ、なんとかうまく折り合いをつけていくとしよう。たぶん無理だろうが(笑)。

で、日頃になく病室のベッドでじっと横たわって考え事をしていると「ガンや痛みを伴う手術よりもまだましだよね~」などと巡らすうちに
過去記事「患者を殴る白衣の天使」をふと思い出してしまった。

以下、暇つぶしのつもりでご一読を。

看護婦さん(現在では看護師さん)のことを「白衣の天使」という。

傷つき、病む者にとって手厚い看護をしてくれる爽やかな白衣を身につけた女性はまさに天使のごとくにも思える存在。

今回は、その白衣の天使が「手術室で手術を受けている患者を怒声とともに殴りつける」
という話である。ちょっと変わった面白い話なので紹介してみよう。

先年亡くなられた作家「吉村 昭」さんは個人的に大好きな作家の部類に入る。冗長なところがなく実に簡潔な文体とリズム感がこちらの呼吸(いき)とピッタリ合っていて読みやすく自然に作風に溶け込んでいけるところが気に入っている。

大方の作品は読んでいるつもりだが、どちらかといえば長編よりもエッセイ風の小品が好みで、この「殴る白衣の天使」は次の
薄い文庫本に収録された小編。吉村さんの実体験にもとづいた話である。
   
       

吉村さんは20歳のときに喀血し、診察の結果、結核と判明、自宅で絶対安静の日々を過ごしたものの、体力が衰える一方で兄の知り合いの東大助教授の診断によると余命6ヶ月と断言された。

「死にたくない」その一念で、ある雑誌で知った手術による結核の治療法「胸郭成形」を受けるため東大付属病院に入院。

当時、「胸郭成形」術は開発されて間もない手術で、術後1年生存率がわずか40%、しかも肋骨を5本ほど取ってしまう土木工事のような荒っぽい手術。

また、麻酔法が未発達で全身麻酔をすると肺臓が圧縮されて患者が死亡してしまうので局所麻酔だけで手術するが、想像を絶する苦痛のため当時の手術場は阿鼻叫喚(あびきょうかん)の巷(ちまた)だった。

「阿鼻叫喚」という表現とはまさに当を得ており、隣室にいた逞しい体をした中年の男性は手術途中で「やめてくれ!」と泣き叫んだという。

一方では25歳前後の〇〇さんという気丈な女性もいて、看護婦さんたちが言うには「〇〇さんは手術中泣き喚くこともせず、頑張りぬくんだから凄い、××さんも殴る必要がないと言っていた」。

××さんとは「患者を殴る白衣の天使」のことである。手術は通常5時間前後かかるが、その間、患者は激痛に耐えかねて泣き叫ぶ。慎重さを必要とする大手術に患者の絶叫は外科医の神経をいらだたせる。必然的にそれを制止させる行為が要求される。

そうした手術場の要請に応じて××さん、つまり殴る専門の看護婦さんが配置についていたというわけ。

彼女は、泣き喚く患者に「黙れ!」という怒声とともに頬に平手打ちをくらわす。
色白の肌をした目の細いちょっとした美人だが、腕も太い大柄の女性で、痩せこけた患者からみればすさまじい体力に満ちた巨漢にも思えた。看護婦たちの話によると大半の患者が××さんの殴打を受けているという。

そうした恐るべき白衣の天使が控えている手術場にいよいよ吉村さんが送り込まれる日がやってきた。

肉を切り裂き骨を切断する手術の激痛は、まさに地獄そのもので叫び暴れた。殴る白衣の天使もたしかに手術台の傍に立ち、決して本意ではないだろうがその日も殴らねばならぬと心の準備を整えていたはずである。

しかし、吉村さんは結局、彼女から殴られなかった。その理由は簡単、手術中「痛くナイッ、痛くナイッ」と、わめき続けていたから。

「痛い」と叫ぶかわりに「痛くない」と叫んだのは、我慢しようという気持ちがあったからで、それは「痛い」という叫びと同じ意味を持っている。
しかし、看護婦としては「痛くない」と泣き叫ぶ吉村さんを殴るわけにはいかない。

こうして手術は無事成功し、1ヵ月後には無事退院できた。切断された5本の肋骨は1年たつと両端から伸びてつながった。

その後社会人として働き、結婚し二児の父となったがこれはすべて手術のおかげと感謝しているものの異様な体験であっただけに、手術前後の2ヶ月に満たない期間のことが鮮明な記憶として今でも胸にやきついている。

殴る専門の白衣の天使もおそらく結婚して家庭の人となっているのだろうが、もしも看護婦を続けているとしても患者を平手打ちすることはもうないだろう。

現在は、麻酔術が急速に進歩していて、手術場で泣き喚く患者はもういない。
 

以上が、「患者を殴る白衣の天使」の真相である。

吉村さんの受けた手術に比べれば、どんな手術だって怖くない気になるのでこういう話は大いに励みになる!(笑)

それにしても入院中「音楽&オーディオ」に一度も思いを馳せなかったのは不思議。やはり健康あっての趣味!

で、結局のところ「1に健康、2,3が無くて4が音楽&オーディオ」といったとこですかね~。

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