「自縄自縛」(じじょう じばく)という言葉がある。
広辞苑によると「(自分の縄で自分を縛る意)自分の心がけや言行によって自分自身が動きが取れなくなり、苦しむこと」と、ある。
自ずから「オーディオ」に関しては「不肖の身」を自認しているが、これとそっくりのことを体験したので縷々述べてみよう。
このところ、大いに気に入っている「JBLシステム」。
この立役者は何と言っても久しぶりに登場した「PX25シングル」アンプ。
とはいえ、口幅ったい言い方になるがこの世に完璧なオーディオ機器は存在しないと思っているし、言い換えると、どんな名器でさえも何がしかの欠点がある。
このアンプも例外ではなく、インターステージトランス(UTC「A19」)が、やや非力なためパワーの面で十分な能力を発揮できていない憾みがある。
今回の場合は駆動対象の「D123」(口径30cm)の能率が「100db」前後(通常はせいぜい95db前後)と高かったため、うまくいったと秘かに睨んでいる。
で、このアンプでウェストミンスターを駆動したらいったいどういう音が出るんだろうと、ふと気になった。
これまで散々実験してきたはずだが、周辺環境も変わっていることだし、再度トライしてみようかな。
こうなるとどうにも止まらない。せっかくJBLシステムから「いい味」を引き出しているのにと、後ろ髪を惹かれながらもさっそく実験に取り掛かった。
な~に、スピーカーをちょいと動かすだけだからものの5分もあれば十分だ。
ただし、問題がある。このシステムはクロスオーヴァーを700ヘルツ前後に設定しているのだ。
つい最近のブログで「200~1000ヘルツの間にクロスオーヴァーを設定し、マグネットの違うユニットを混ぜ合わせるのは・・」と記載したばかり。
お前は「言うこと」と「すること」が違うじゃないかと責め立てられると一言もない、まさに「自縄自縛」(笑)。
で、窮余の一策として低音域用のユニット「スーパー12」を200ヘルツ前後でハイカットしてみた。
ムンドルフのコイル「6.4mh(ミリヘンリー)」は丁度200ヘルツあたりでハイカット(-6db/oct)できる計算になっている。
これに対して中高音域を受け持つ「175ドライバー」(JBL)は900ヘルツでローカットしている。
これでは「200~900ヘルツ」の周波数帯がスカスカになるはずと誰もが思うのだろうが、2台のアンプのボリュームを上手く調整すると意外にもそこそこ聴けるんですよねえ(笑)。
大きな箱の響き効果もあるのだろうか、「200×2=400ヘルツ」まで「6db」の減衰だが、それに留まらずずっと上の周波数まで伸びている感じがするし、その一方「175」も「900÷2=450ヘルツ」まで「6db」の減衰になるが、それぞれ両者の減衰帯域で響きが程好く収まっている、としか思えない。
そして、今回のテスト盤は「風のかたみ」で、チェロ奏者「藤原真理」さんの入魂の演奏であり、収録されている曲もすべて素晴らしい。
ウェストミンスターとチェロの相性がとてもよくて、その昔「酒とバラの日々」という映画があったが、それにちなんでもう毎日が「ウィスキーとバラの日々」~。
やっと「自縄自縛」から解き放されましたぞ!(笑)。
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