「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

百見は一聴にしかず

2013年03月31日 | オーディオ談義

明日は4月1日の月曜日。お役所をはじめ大半の組織では新たな会計年度としての平成25年度の始まりの日である。

わが町の自治会の会計年度もその例に漏れない。この自治会には渋々ながらも4年間、会計役として貢献したが、無事後任が見つかって、昨年の総会の開催日(4月中旬)をもってようやく辞めることが出来た。ただし、会計役は役目を終えても引き続き監査役(1名)に就任するというのが我が町内の暗黙のルール。

昨日(30日)の午前中、24年度の新たな会計役となったYさんが、事前鑑査用の資料をわざわざ持ってきてくれた。このYさんは年の頃、40歳前後だろうか。社会の酸いも甘いもひと通り経験して、すべての面で脂の乗り切った働き盛りとお見受けした。

ご丁寧にも収支決算書、収入収支明細書、現金出納帳、領収書綴りなど会計書類一式を持参してきて、「これらを預けておきますので目を通しておいてください」とのこと。

これは非常にありがたいことで、暇なときにマイペースで検証できるし、肝心の本監査(4月7日)の方は短時間のセレモニー程度で済ませることが出来るので役員全員が助かる。

玄関先で昨年の役員全員の退任後の運営状況などについての立ち話をしていると、いろいろそれなりの苦労話があるみたいで、当方も事情が分かっているだけに同情すべき点も多々あって、
どうやら話が長引きそうになった。

「まあ、中に上がってゆっくり話しませんか」と、いうわけでオーディオ・ルームにご案内すると「ワァーッ!」と驚嘆の声があがった。

           


つい、本題の話はそっちのけになって目の前の装置にピッタリ釘付け。あまりの驚き様に乗せられて「何か曲を聴いてみますか」と、お伺いすると、「ぜひお願いします。」

「そうこなくっちゃあ~」(笑)

まず、奈良のMさんからお借りしている「MJオーディオテクニカルCD」のうちの、大のお気に入りの13トラック「天堂」(テンゲル→内モンゴルのシンガーソングライター)をかけてあげた。システムは「AXIOM80」3ウェイ・システム。

「日頃聴いている音とまったく違います。音が澄んでいて深みがあります。驚きました。」と、目を丸くされている。そこで、調子に乗って、今度はJBLの3ウェイシステムを聴いてもらった。

このシステムの生命線は低音域の豊かさに尽きる。となると12トラックの「トッカータ」(バッハ)が筆頭。

タンノイ・ウェストミンスターの長大なバックロードホーンがオルガンの床を震わすような豊かな重低音の響きをいとも簡単に鳴り響かせる(ただし、ウーファーのハイカット周波数を200ヘルツにしているのがミソである!)。これには心から感銘を受けられたご様子。

「オーディオ装置からこんなに素晴らしい音が出るとは夢にも思いませんでした。同じ町内の方々の中にはきっと音楽が好きな方がいると思いますのでもっと宣伝されたらいかがでしょう。自分もぜひオーディオをやってみたいです。何から、どう手を付けたらいいんでしょうか?」

正面切って、こう問われると不思議なことに咄嗟に言葉が出てこない。我が家に試聴にお見えになる方は全員がそれなりに心得のある方ばかりだから無理もない。

端的に言えば「オーディオとは気に入ったスピーカーの能力を最大限に引き出すために、その方法(アンプなどの選択を含めて)を考え、実行に移すことです。」が長年の持論だが、こんなことをYさんに言ってもチンプンカンプンだろう。

そもそも「気に入ったスピーカー」を見つけることから始めるとなると、それなりの時間と授業料が必要なことは言うまでもない。

「とりあえずテレビの音を聴くのならこういうシステムだって充分聴けますよ」と、テレビ用システムの音を聴かせてあげた。

テレビチューナーの出力端子に「プリアンプ(真空管) → パワーアンプ(真空管) → リチャードアレンの20センチフルレンジ(ボックス自作)」を繋いだシンプルなシステムで、ちょうど春の高校野球を中継していたが「広い甲子園球場の雰囲気がよく出ています。これで十分です。我が家のテレビの音は少し距離をおくと聴こえずらくなりますが、この装置では離れるほどうまい具合に聴こえますね。」


結局、Yさんの手始めとしては別途、市販のプリメインアンプとスピーカーを購入ということになるのだろうが、有難迷惑の可能性もあるので差し出がましいことは遠慮しておくが、出来ることならスピーカーだけは単独のSPユニットを購入し、SPボックスの自作をお薦めしたいところだ。

SPユニットの背圧の逃がし方や吸音材の使い方など、基本的な勉強が出来るし、将来2ウェイ、3ウェイへの発展性やネットワークの構築などを通じてオーディオの真髄に触れることが出来るのがその理由。

それにしても実際に音を聴いていただくことで、素人同然の方がこうしていとも簡単にオーディオ・ファンとなってその素晴らしさに気付いていただけることにいささか驚いた。

世間では「オーディオマニアとは単なる音キチだ。それほどまでしなくても音楽は十分楽しめる。」としか映っていないだろうが、こうして実際に聴いていただくとその偏見がアッサリ覆るのだから、ちょっと考えさせられる。

周知のとおりオーディオ人口は減る一方だが、もしかして「食わず嫌い」が多いのではあるまいか。

オーディオは自分さえ楽しんでいればそれでいいし、何もお節介をやく必要もないわけだが、こんな“楽しい”趣味だからこそ、もっと賛同者を増やし、豊かな人生を送ってもらう手段の一つとして広く普及させていくのもマニアとしての役目なのかもしれないと思ったことだった。何せ、実際に音を聴かせてあげればいいのだから簡単なことである。

「百見は一聴にしかず」。

とりあえず、町内の有志を募って我が家で「音楽鑑賞会」を開催してみようかな。その時はYさんが、いの一番に馳せ参じてくれると確約してくれたが、はたしてあと、どのくらいの人が呼びかけに応じてくれるのだろうか。

ここは思案よりも行動が先かな(笑)。
 


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