と き 2009年7月3日(金)、くもり時々雨、海上無風
と こ ろ S市O島
釣り時間 8時10分~15時20分
汐 若潮(干潮12時前後)
釣 果 クロ(メジナ)30cm(560g)クラス6匹ほか多数
アジ20~25cm27匹
小鯛数匹、タナゴ数匹
先日、クルマを運転していたら前の車の後部ガラスに「釣り迷人」というステッカーが貼ってあった。思わずニッコリしてしまったが、同時に「この人は”釣り”というものが分かっているな~」と思った。
釣りは難しい。どんなに釣り慣れた場所で、どんなにいい仕掛けで釣ろうとも潮流に予測不可能の冷水塊が入ってきただけでまったくといっていいほど釣れないことがある。人間は自然に対して無力でありとても太刀打ちできない。
したがって「自然」を相手にする釣りにおいてはどんな釣り人だって所詮は”迷人”に過ぎず、「いつでも釣ってみせる」と豪語するような怖さ知らずの”名人”は「まっとうな釣りの世界」にはおよそふさわしくない存在。
しかし、分かっちゃいるけどそこは人間の悲しさ、自分はもしかすると”名人”ではなかろうかと錯覚することがままある。
今回の釣行がまさにそれだった。とにかく「釣れまくった」のである。
九州地方もようやく梅雨の本番となり大雨警報が断続する中、「梅雨の晴れ間」ともいうべきお天気が3日の金曜日に訪れた。降水確率10%の数字にはまったくもってうれしくなる。
今回のマキエは「アミ+オキアミ+パン粉+集魚剤」という必勝態勢のもと、一路S 市のO島に向けて一目散。9時~11時がゴールデンタイムと踏んで自宅を早朝6時10分に出発、高速道を利用して港に着いたのが7時25分。7時40分発の一番の渡し舟にきれいに間に合った。
ところが、ネット情報による降水確率10%はどこにいったのやら、空を見上げると今にも雨が落ちてきそうな曇り空。それに海の色も度重なる大雨でちょっと濁り気味。
しかし大雨にさえならなければむしろ「絶好の釣り日和、こういうときは釣れる」とは経験則でおおかた分かる。それにしても「曇天のメリット」は計り知れないほどの釣果をもたらしてくれた。
防波堤の同じ場所で釣り続けるとエサ盗り(小魚)が居つくのでときどき場所替えをするのがセオリーなのだが、まあ、今回くらいまではいいだろうといつもの場所に釣り座を構えた。
マキエを開始すると10分ぐらいでアジの入れ食いが始まった。それも20~25cmの良型。前回の反省でウキ下を1.5mほどとって始めからアジ狙いに切り換えたのが功を奏した。暗くよどんだ海が糸などの仕掛けを目立たなくしてくれるので大助かり。アジは基本的に回遊魚なのでパタリと居なくなることが多く、釣れるときに釣っておくことが肝心。
そのうち「釣れるかい」と地区のご老人がやってきた。「ええ、型のいいアジがぼちぼちです、クロはもう後回しですわ」。「そうかい、クロよりもアジのほうがおいしいもんな~、クロは寒グロのときは食べるけど夏の時期はちょっとね~」「エッ、地元の漁師さんたちはクロよりもアジのほうを喜ぶんですか?」「そりゃ、そうさ」。それを聞いてますますアジ釣りに専念。
今回の釣りでは7m弱の竿を2本準備した。1本はアジ、クロ兼用のウキ下1.5m用、もう1本はクロ専用でウキ下50cm用。ツケエの方も「オキアミ」と「サシアミ」を2種類準備。魚の学習能力はバカにならないのでいろいろと目先を変えることにも留意した。もちろんオモリの位置も。
小雨が降ったり止んだりのお天気が続く中、そのうち面白いことに気付いた。曇天になって小雨がポチポチ落ちてくると魚の動きが活発になり喰いがよくなる、一方、雨が止んで空が少し明るくなるとすぐに喰いが落ちてくる。
それはそれは、実にハッキリした現象だった。やっぱり釣りは「朝まずめ」「夕まずめ」が一番なんだよね~。こういうことを目の当たりにすると常日頃、太陽がギンギラギンと照りつける真昼間の釣りがいかに不自然で非効率であるかを心底思い知らされるのだ。
さて、アジのゴールデンタイムが過ぎて午後の満ち込みに入ると今度はクロの喰いが活発になった。この防波堤では引き潮が良く、満ち込みの潮はマズイとのこれまでの認識を完全に吹き飛ばす勢い。
それも型ぞろいで次々にグングンと手前の海中深く突っ込んでくるクロを7mの長竿でグッとためて海面まで浮き上がらせるのは釣りの醍醐味ともいうべきもの。うち取り逃がしたのが2匹。大物過ぎて先手を取られ、竿では起こせなかった。
1匹はハリス切れで、もう1匹は道糸の途中から切られてウキごともっていかれた。1300円もするウキだったのに~、残念!道糸が1.5号の細仕掛けなのでときどき竿1本ほど切って仕掛けを作り直し、ガイドにこすれる部分を更新してやらなければいけないのにサボった報い。
しかし、あまりに釣れすぎて時合いを重視し変える余裕がなかったのも事実。2時ごろまでオニギリを食べる余裕もなかったほどで、こういう釣りは近年ではホントに珍しい。お終いには竿を持つ利き腕となる右腕に力が入らなくなってきた。
納竿はマキエがスッカラカンになった15時20分頃。帰りの15時35分発の船に丁度間に合った。
結局、今回は「梅雨空がもたらした大漁」だったが、それも「名人級の独自の仕掛け、読みの深さがあったこその釣果では」な~んちゃって。