「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~スロー・リーディング~

2006年11月26日 | 読書コーナー

「本を早く読みたい!それは忙しい現代人の切実な願いである。だが、速読は本当に効果があるのか?10冊の本を闇雲に読むよりも1冊を丹念に読んだ方が、人生にとってはるかに有益である。」

こうした巻頭言(表紙の裏)のもとに出版された本が
「本の読み方」~スロー・リーディングの実践~(’06.9.1PHP新書刊、著者平野啓一郎氏、99年に芥川賞受賞)である。

日ごろ濫読気味で飛ばし読みをする癖がある自分にとって、まったく頂門の一針となる極めて有益な本だった。

この本は「基礎編」「テクニック編」「実践編」に分かれている。とりあえず、印象に残ったポイントをアトランダムに紹介しよう。

・ 遅読こそ知読
・ 作者になったつもりでその意図を考えながら読む
・ 書き手の仕掛けや工夫を見落とさない
・ 冒頭の一文は極めて重要で作品の主題に直接触れるものが多い

・ 常に何故という疑問を持つ
・ より先にではなく、より奥に

・ 人に話すことを想定して読むと理解力が高まる

以上羅列してみたがこの本は決してノウハウ本ではない。実践的な手法の数々を古今東西の名作を題材にして教えてくれるところが実にいい。

夏目漱石「こころ」、森鴎外「高瀬舟」、三島由紀夫「金閣寺」、川端康成「伊豆の踊り子」、カフカ「橋」など

もっと早くこの本に出会っておけば読解力が増して、読書の楽しみが何倍も増えたかもしれないと少々残念!
 

なお、最後に著者に期待したいのはスロー・・・の趣旨はよく分かったので、次にはスロー・・・に値する本の素早い見分け方を是非教えてもらいたい。現実問題としてこれだけ、書籍が多いと全てをスロー・・・というわけにもいかないので。

                         




 


 


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