経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

経営者が叫び続けること

2006年10月10日 | Weblog
 人は、だれしもわかっている当たり前のことではなく、未知のことを知りたがる。今の風景より将来(さき)を夢見る。このことで文明を進めて、進歩発展の礎になったことは確かである。

 だが、そのことと、当然のことや旧知のことを、「やっているかどうか」ということとは別問題である。やるべきことをやらないまま見過ごしてきたこによる機会損失はおびただしいものとみてよい。こうした検証は、ほとんどなされていないといってよい。

 普遍性と特殊性とを比べたら、どちらを優先すべきかを問いかけるまでもなく、前者が量的、質的にも圧倒的シェアを占めていることから、優先しなけらばならないのではなかろうか。

 前者と後者では、どちらが普遍性が高いと見るか、経営者に、次の3点を問う

1 事業側の儲かる計算をして買い上げ客数は伸びますか。お客に有利な判断をすれば伸びますか。
2 経費は惜しむものですか。それとも最大の成果を得るためのものですか。
3 考えたり、計算したり、会議したりで、成果は得られますか。やればうまくいくかいかないかですが、

  問われたら答えは圧倒的に後者が多い。だが現実やっていることはこの正解の方ではなく、前者、すなわち誤解の方である。

 わかっていても、下手な釣り人のように、成果が得られないと100の撒き餌を惜しみ20の撒き餌に減らし、100匹狙いたがる。それでもつれないと 次に、しからばと10撒いて20匹を目指す。

 さらに経費削減。さらに削減。ついには撒かなくとも、漁夫の利を求める。こうして事業はサイコロゲーム化し、組織は、じり貧化していくのである。

 だが、上手い人は100撒いて80匹釣り、次に120撒いて100匹を狙う。そしてその間に200の餌で1000匹を確実に釣れる方法を考える。あるいは50で100を、といった合理化を考える者もいる。

 撒き餌を惜しむ、「ため」ではない。経費は削減する、「ため」のものではない。最小費用を狙いとするのではなく、最大効果を狙うことに軸足があるのである。
 
 要は経営は、ひたすら「消費者に得な条件を与えること」を、組織に浸透させ、客に関心を寄せて貰い、集まってもらわなければ、経営そのものが存在し得ないのである。だから経営者の仕事は、そうした方向に組織を采配することである。
 なぜなら経営以外の者は、「企業が得な条件、自分が得なことを考えるのが仕事」。組織ではこれが本能、体質化しており、放置しておけば「消費者に背を向けさせることにひたすらもの」だからである。
 意識的に、その体質化から、脱却させ得るのは経営者以外にない。
 だから、常にこう叫び続けなければならない。
 「それはお客様にとって得になるか。お客様が喜んで行列することか」。
 こう叫ぶ彼には、釣りのとき、豪華な釣り竿や、優れたリールや釣り針にではなく、餌に魚が集まるあたりまえのことがわかっているのである。