赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

若沖展は170分待ち

2016-05-21 09:36:14 | その他
桝添さんの会見が、ただただ腹立たしい今日この頃……。

水曜日。
友人と若沖展を見に、友人と上野へ。
駅で混んでいるので、いやーーな感じがしたのですが、な、なんと170分待ち。ガーン。修学旅行生も多く、こんな人の多い上野は初めてって感じです。

それで、カラヴァッジョ展へ。宗教画の緻密さと光のつかい方に関心。それに、音声案内の北村一輝の声が、なんともいえず雰囲気を盛り上げます。壁を赤にしたり、青にしたり、下から光をあてたり、その絵を見せる演出方法も卓越していました。

そのあと、読書会まで時間があったので、以前からずっと行ってみたかった、飯田橋のカナルカフェへ。
入口はこんな感じ。


カフェは、見晴らしがよく都会だけどすがすがしくて、デートスポットになるのはわかります。桜の頃は、行列ができるとか。


珈琲800円は高いですが、ポットででてくるので3杯ほど飲めて、お腹がたぷたぷになります。

さて、もうひとつの話題。
本屋大賞『羊と鋼の森』を読みました。

調律師になる青年の話。
いい調律師になりたいともがく青年。
一般家庭ではそこまでの調律は求めていないのか?
キャンセルされて落ち込み、先輩に言葉で立ち直って……。
才能とは? 役にたつとは? いろんな要素がきれいで含蓄ある表現をつかって書かれています。

わたしがよかったと思ったのは、ピアニストをやめて調律師になったAさんの描き方。
「耳がよかった。だから、一流ピアニストと自分との違いに気が付いてしまって、それが苦しくて、あきらめた」のようなことをいっています。
これは何にでもあてはまって、創作でも、読めるようになってくると、一流文学者の書くものを自分との差が気になってしまいますよね。それで書けなくなることもしばしば。

あきらめずに続けて行く人、ちがう道と選ぶ人、コンサート会場のピアノの調律をめざす人。一般家庭のピアノとつきあっていく人。どの人の見方も、繊細でおだやかです。深い森に分け入っていくような、宮下ワールドに包み込まれます。

初めて読んだ宮下奈都。わたしはかなり気に入りました。自分とはちがうタイプだから余計でしょうか。
なにかをめざして、苦しいんでいる人には光が差したような気になる本だと思います。