呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気父さんの読書感想文・亥の23・24「犯人に告ぐ」上下

2007-10-13 | 本の話
犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)
雫井 脩介
双葉社

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♪「犯人に告ぐ」上下巻 雫井脩介著 双葉文庫

「週刊現代の今年のミステリーBest1!」というキャッチコピーに惹かれて読み始めた。
結論から言えば、とても面白かった。「Best1」に偽りなし!

6年前に幼児誘拐殺人事件の犯人を取り逃がした神奈川県警の巻島警視は
川崎で発生した男児連続殺人事件の捜査責任者として、左遷先から呼び戻される。
この事件は、いわゆる「劇場型犯罪」で、犯人は愉快犯的に警察やマスコミを挑発する。
県警では犯人に対抗するため、捜査責任者である巻島をテレビのニュース番組に出演させ、直接犯人に語りかけるという視聴者を巻き込んだ「劇場型捜査」に踏み切る・・・。

巻島より年下だがキャリア組の上司植草が、捜査情報を学生時代のガールフレンドのニュースキャスター(他局)に漏らす話は、最初はちょっと違和感があった。
ストーリーの本質には必要のない、余計なトピックスのような気がしたのだ。
しかし、これが後半のテレビ局同士の熾烈な視聴率争いとか、巻島が流す偽情報を植草やテレビ局側が真に受けて、世紀の大誤報をやらかすことに繋がり、本作の重要な幹であることが判明する。
実際読んでいて、巻島と植草、テレビ局の駆け引きに手に汗握る興奮を覚えた。
これだけでも凄い話で、傑作だ。

6年前、自分のミスで幼児の命を奪われたという心の傷をずーっと引きずっている巻島。
ラストシーンでは、あくまでもクールで世捨て人のような巻島が、遺族に思わず心情を吐露する。
最後の句点で、目頭が熱くなった。
これだから、読書はやめられない。

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