呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

男声合唱曲「柳河風俗詩」

2008-06-08 | コンサート・LIVE・演劇などの話

もうし、もうし、柳河じゃ、柳河じゃ
銅の鳥居を見やしゃんせ
欄干橋を見やしゃんせ

馭者はラッパの音をやめて、赤い夕日に手をかざす

薊の生えたその家は、その家は、
蒼いむかしの遊女屋(ノスカイヤ)、人も住まわぬ遊女屋

裏のBANKOにいる人は、あれは隣の継娘、継娘
水に映ったそのかげは、そのかげは
母の形見の子手鞠を、子手鞠を
赤い毛糸でくくるのじゃ
涙片手にくくるのじゃ・・・

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合唱団の10月の定演プログラムの1曲が「柳河風俗詩」という、男声合唱のために書かれた組曲だ。
北原白秋の詩に多田武彦氏が曲をつけたもので、この曲は男性合唱曲としては相当知られたものということだ。
でも僕にとって初耳だし、北原白秋の詩だって今までほとんど接していない。
曲を練習していると、良い曲だということは分かる。
だが、その詩の内容や背景などはピンとこない。
それは他のメンバーも同じらしく、柳川を知っている人はほとんどいないようだ。
そういうこともあって、今回は北原白秋の生地であり、この歌の舞台となっている筑後の柳川を訪れることにしたらしい。
僕も出来れば行きたかったが、金曜は休みにくいし交流会で歌う曲も全然マスターしていないしで、今回は不参加とした。

では僕はこのままピンと来ずに歌い続けるのか・・・。
Yさんの紹介で「柳河風俗詩」の解説が掲載されている「なまずの孫・3びきめ」という本をみんなで購入した。
この本は副題に「邦人合唱曲への文芸的アプローチ」とあるように、日本人の合唱作品について「文学的」に解説している本だ。
著者は日本古典文学研究者の深沢眞二氏。
この「解説」は、とても面白かった。
合唱曲となっている北原白秋の詩の内容を、芝居の台本形式で解説している。

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舞台は戦後すぐの筑後・柳川。
タイムトラベルで現代から終戦直後の柳川にやってきた白秋研究家の「淺川」は、寂れつつある柳川のノスカイヤ(遊女屋)・懐月楼に身を寄せ、女郎の膝枕で白秋の話をポツリポツリ・・・。
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白秋の詩は「廃市」という短編小説になり、その後大林宣彦監督の同名の映画にもなる。
この深沢氏の解説はとても分かりやすく、柳川も白秋も知らない僕に、この曲が語る「世界」をきっちり教えてくれた。
もちろん現地に赴いて、かね(銅)の鳥居や欄干橋、小船が行き交う掘割などを観ることでもっと身近に感じることが出来るのだろうが、時代背景や登場人物の心情など、観光だけでは理解できない部分もある。

しかし、この「芝居の台本風解説」は本当に良く出来ている。
読んでいて、国立劇場あたりの舞台が目に浮かぶ。
舞台が暗転したり、回り舞台で情景が切り替わったり、淺川や女郎の台詞まで聞こえてきそうだ。
もちろん曲によってその解説手法はそれぞれ違うのだが、これから歌おうとする曲の解説を前もって読むことで、より深くその作品を理解することが出来るだろう。
この合唱団では、「詩の理解」にも時間を掛けているようだ。
合唱って、そういうことも大事なんですね!またひとつ勉強しました!

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