呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

呑む気父さんの読書感想文 亥の18~22 「模倣犯」

2007-10-01 | 本の話
模倣犯〈5〉 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社

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♪「模倣犯(1)~(5)」 宮部みゆき著 新潮文庫

宮部みゆきの長編大作「模倣犯」を読了した。
結論から言えば、面白かったぁ!
前から何度も言っているように、宮部の現代物はあまり好きではない。
だから読むことに相当躊躇していたが、その心配が杞憂に終わってよかった。
分厚い文庫本5冊も読んで、つまらなかった・・・では洒落にならない。
まあ、相変わらず冗長なところもあったが、そこはストーリーが分からなくならないように斜め読みした。
あまりストーリーに関係ない人物のディテールまで書いているが、本当に必要なのかという疑問は、やはり残る。

連続殺人事件の被害者の家族、加害者の家族の苦悩が克明に描かれる。
特に被害者の家族は、後悔の念に苛まれる。
あの時こうしていれば、こう言ってやれば、ちょっとだけ気をつければ、こんなことにはならなかったのではないか・・・。
家族は、近親者を失った悲しみだけではなく、自分を責めて自問自答を続ける。
そういうものなんだろうね。
でも考えてみれば、酷な話だね。
本来被害者なのに、何でこんなに苦しまなくてはならないのかな。
病気とは言え、身近な家族を亡くした者として、その気持ちはよく分かる。
そのあたりの詳しい感想は、また改めて別な機会に・・・。

加害者、特に主犯格のピースの「劇場型犯罪」というものは、到底僕には理解できない。
ただ、最近の意味もなく簡単に殺人を犯す犯罪傾向は、この犯人達に通じるところがあるんだろう。
とても我々には信じられないし、理解したくもないが、でもその犯罪をごく普通の人間が犯すところに、恐怖を感じる。
(なんて、評論家みたいなことを言ってしまった・・・)

栗橋と高井が偶然?車ごと峠の崖下に転落して死亡するところや
小樽の女性が未遂に終わった拉致事件の犯人を、網川と気づくところなどは
多少無理を感じない訳ではないが、総体的には非常によく出来た筋書きで一気に読めた。
次は、是非とも最新作の「楽園」を読んでみたいものだ。

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