おはようございます。
生き生き箕面通信1864(140129)をお届けします。
・ナベツネ氏が支配する読売新聞の闇
読売新聞は、政府権力宣伝紙の役割を強めるようになりました。読売新聞のドンと自他ともに認める渡辺恒雄・同社会長兼主筆が、自民党権力がめざす方向で読者を洗脳する役割をいよいよ、しかも進んで果たすようになったからです。
とりわけ、政府がごり押しで成立させた「特定秘密保護法」の実効化に大きな役割を果たす動きに出てきました。
特定秘密保護法の評判が悪いため、安倍首相が世論をなんとかごまかそうと「情報保全諮問会議」という得体の知れない会議をでっち上げたのですが、ナベツネ氏はその仕切り役に就任したのです。
就任にあたって、こんなコメントを出しました。「限定された、緊要な国家機密を守るための特定秘密について、第三者の目で、国益を踏まえ、厳しく検討していきます。私は報道界出身ですので、『言論の自由』や『報道・取材の自由』が、この法律でいささかも抑制されることがないよう法の執行を監視するのが義務だと考えています」と。
よくもまあ、いけしゃあしゃあと言うよ。
朝日新聞は本日1月29日の朝刊31面で、「諮問会議 問われる人選」「秘密法 座長に読売トップ」の見出しを立て、諮問会議とその人選に疑問を提起しました。
形の上では、読売新聞に対する最大のライバル紙、朝日新聞の”ためにする記事”と取れないこともありません。しかし、「朝・読戦争」などという下世話なレベルで済ますわけにはいかない問題提起といえます。
朝日によると、今月17日の初会議でナベツネ氏は、「治安維持法は最悪の法律で、拡大解釈の余地はいくらでもある」とする一方、特定秘密法については「二重三重に権力の乱用を縛っているから大丈夫と思う」と述べたそうです。
よくもまあ、いけしゃあしゃあと言うよ。
現実には、特定秘密保護法が成立したというその翌日も、多くのメディアがこの法律に批判の記事を掲載しています。多くの市民団体が、「保護法廃止」を掲げて運動を続けています。成立当初から廃止運動がこれほど盛り上がっている法律は、ほとんど例がないといえます。さすがの安倍首相も、「もっと丁寧に説明する必要があった」と弁解せざるを得ませんでした。丁寧に説明すれば済む話ではなかったのですが……。
それはひとえに、保護法の秘密の範囲がいくらでも拡大解釈できる危険があるからです。かつての治安維持法よりも危険と感じられているから、反対・廃止を求めているのです。その実体を無視して、ただやみくもにナベツネ氏は、「大丈夫」の太鼓判を押す。そこからして、ナベツネ氏のごまかし、いい加減さが現れているといえます。
読売新聞の社内は、「ナベツネ派」が我が物顔の主流派を形成してきました。かつては、社会部が主流で、「事件の読売」でした。いまは、ナベツネ氏が歩いてきた政治部が主流で、「体制派の読売」を鮮明にしてきました。ナベツネ派でなければ人にあらず、といった社内情勢のようです。
ナベツネ氏がにらみを利かせており、憲法改定は推進、集団的自衛権の行使は容認する、原発はもちろん維持、推進する、消費税は増税に賛成、TPPも推進といった具合です。
反対に、中国や韓国との関係改善や友好親善の努力については、少しも見るべき論説がありません。読売は依然として、冷戦時代の思考を引きずっているのです。ナベツネ氏がばりばりの政治部記者時代はまさに冷戦まっただ中。学生時代には共産党細胞に入っていたナベツネ氏はその後、転向して体制派に鞍替えしました。
外交は、米国寄りの一辺倒。アメリカ軍についてどこまでも、という隷従ぶりです。ムリもありません。読売新聞が敗戦後、部数を増やしてきたのは当時の占領軍の強力なバックアップがあったからでした。読売の中興の祖と言われる正力松太郎氏が米国CIAのエージェントだったことはつとに知られています。
報道機関の第一の、そして最大の役割は、「権力の監視」です。その使命を放棄するどころか、積極的に権力を補佐する。読売新聞は、報道機関としては暗黒時代にあります。かつて、サンケイ新聞が「政権翼賛新聞」とされましたが、いまは読売がサンケイをしのぐ勢いです。
読売新聞は芸能やスポーツ面は賑やかです。これとて、読者の目を娯楽にそらせる「愚民化」の一翼です。
いつまでこんな新聞が、「日本最大の部数」ということになっているのでしょう。日本の情報空間はきわめてゆがんでいるのが実態です。
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