語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】トランス脂肪酸たっぷりの「コアラのマーチ」 ~栄養表示の限界~

2014年10月21日 | 医療・保健・福祉・介護
 全国農業協同組合連合会(JA全農)主催「食品表示に関する記者説明会」によれば、 
  (1)ロッテの「コアラのマーチ」・・・・香港で販売されているのには、トランス脂肪酸が1箱当たり2g入っている。
  (2)これが分かるのは、香港では加工食品の栄養成分表示が義務づけられているからだ。
  (3)トランス脂肪酸・・・・心疾患リスクが上がる。WHOは、1日の総エネルギー摂取量の1%以下にすることを推奨している。1日のエネルギー摂取量が1,800キロカロリーならば、18キロカロリーで、脂肪2g相当となる。

 日本では、栄養成分表示自体が義務づけられていない。消費者庁が基準を作りつつある段階だ。
 ただし、5年後に施行予定の栄養成分表示にはトランス脂肪酸は含まれていない。

 消費者が「コアラのマーチ」のトランス脂肪酸量をロッテに照会しても、回答は、
  「トランス脂肪酸の低減化には努めているが、具体的数値は出せない」
 ところが、「食の安全・監視市民委員会」が公開質問状でロッテに照会すると、回答はしぶしぶと、
  「1箱当たり0.1~0.2g」
 消費者からの質問には答えず、消費者団体からの質問には回答する・・・・という対応はまずいだろう。また、国内の商品の値が低いということは、その有害性を認識しているということだろう。だのに、なぜ海外に限って10~20倍も高い値で放置しているのか? ロッテの企業姿勢には疑問がある。

 同種のチョコレート菓子は、日本の他の大手菓子メーカーの商品にもある【注】。
 照会すると、個別含有量については、いずれの会社も回答を拒否している。その他の情報開示では、大きく分かれる。
 明治は「重量の0.2~0.3%未満」、江崎グリコは「商品の総カロリーの1%未満」という回答だった。どちらも海外生産品についても同等の低減化を達成済みだった。
 森永製菓は「削減努力をしている」というだけで具体的な数値の明言は避けた。ロッテも「コアラのマーチ」以外の「パイの実」「トッポ」などの含有量は回答拒否で、なぜ海外生産品だけトランス脂肪酸が高いままなのかについてもノーコメントだった。

 ロッテからの回答の中に、「トランス脂肪酸表示は、業界団体の取り決めに準じて対応する」という文言があった。これが、業界横並びの対応を意味するのであれば、それがため、低減を達成している明治や江崎グリコも表示できないのだろう。
 日本の栄養成分表示では、企業の取り組みの違いが見えてこない。

 【注】いずれも表示は行っていない。①削減目標と、②生産品の国内・海外での違いは、
  (a)明治「きのこの山」「たけのこの里」他・・・・①商品重量の0.2~0.3%未満、達成済み。②同程度。
  (b)江崎グリコ「ポッキー」他・・・・総カロリーの1%未満、達成済み。②海外生産品についても低減化済み。
  (c)森永製菓「小枝」他・・・・低トランス脂肪酸への切り替えを順次行っているが、削減目標などは回答拒否。②海外生産は無し。
  (d)ロッテ「コアラのマーチ」「パイの実」他・・・・「コアラのマーチ」は1箱当たり0.1~0.2g、他の商品については回答拒否。②海外生産品は100g当たり4.2gのものがある。

□植田武智「トランス脂肪酸だらけの香港の「コアラのマーチ」 日本の「コアラのマーチ」はどうよ?」(「週刊金曜日」2014年10月10日号)
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