語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【政治】巨大脱税疑惑隠しの自分勝手解散 ~安倍晋三~

2014年11月24日 | 社会
 7年前の辞任は突然だったが、今度の解散も突然だ。
 足元の自民党岐阜県連から、非難決議をされる始末だ。<消費税を解散の大義名分にするのは後付けで、国民のことを一切考えない党利党略>であり、<景気回復に向け傾注しなければならない時であり、政治空白をつくるべきではなく、解散する大義はない>。

 では、なぜ、安倍晋三は解散を決意したのか。
 その謎の答えは、7年前の辞任にいたる経緯を検証すると、得ることができる。
 安倍は、体調悪化を理由にしたが、それは違う。
 <今週末発売の一部週刊誌が安倍首相に関連するスキャンダルを報じる予定だったとの情報もある>【2007年9月12日付け毎日新聞】
 一部週刊誌とは「週刊現代」のことだ。
 同誌は、毎日新聞の記事も取り込みながら、<このスクープで総理は職を投げ出した!>というリードで<本誌が追い詰めた安倍晋三首相『相続税3億円脱税』疑惑>という大見出しを掲げた【「週刊現代」2007年9月29日号】。
 <本誌が9月12日中に回答するように安倍事務所に質問をつきつけた>が、この<悪質な税金逃れの手口>を説明できず、<首相は観念した>。【前掲誌】

 これを、今年11月4日、吉田忠智・社民党党首が蒸し返した。
 <2007年9月に安倍晋三相続税脱税疑惑が報道されております。故安倍晋太郎氏が生前に指定政治団体に晋太郎氏の個人名義で寄付した6億円を超える政治資金を、全国66の政治団体ごと引継ぎ、相続税3億円を脱税したという疑惑であります。
 指定政治団体制度は、94年に政治改革の一環として脱税の温床になるとしえ廃止されました。安倍事務所は、収支報告書には第三者からの寄付を故晋太郎氏名義で記載しているにすぎないと説明したそうですが、それが事実であれば、偽名による政治資金報告書への虚偽記載ではありませんか。脱税額3億円について、確かに時効になっています。是非、時効の利益を放棄していただいて、自発的に納税してはいかがかと思いますが>

 小渕優子など問題にならぬ巨大疑惑を突きつけられて、安倍は激昂した。巨大疑惑を隠蔽するには声を張り上げねばならぬとばかり居丈高になって、「まったくの捏造」と決めつけた。
 <ただいまの質問は私、見逃すことはできませんよ。重大な名誉毀損ですよ。吉田さんはその事実をどこで確かめたんですか。まさか週刊誌の記事だけですか。週刊誌の記事だけで私を誹謗中傷するというのは、議員として私は恥ずかしいと思いますよ>

 「恥ずかしい」のは、安倍だ。安倍は「週刊現代」に回答しなかったように、ここでも何ひとつ答えていない。
 「週刊現代」には、財務省主税局幹部のコメントも載っている。
 <この通りなら、これは脱税ですね>
 相続税の脱税の時効は最大で7年だから罪には問えないが、これまで1億円以上の脱税は、政治家でも逮捕されてきた重大な犯罪だ。
 それをウヤムヤにするため、安倍は解散に打って出たのだろう。選挙にかかる費用を考えれば、あまりにも自分勝手な税金の無駄遣いだ【注】。
 
 【注】700億円。【記事「衆院選の費用700億円、高い?安い? 他の用途なら…」(朝日新聞デジタル 2014年11月20日)】
衆院選の費用700億円、高い?安い? 他の用途なら…

□佐高信「疑惑隠しの自己都合解散 ~新・政経外科 第20回~」(「週刊金曜日」2014年11月21日号)
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