誰だって自分の業界がいちばん変わっていると思っている。医者には医者の、学校の先生には先生の、会社員には会社員の誇りがあり、他には言えないような苦渋もある。それはもちろん学校事務職員だって同じことだ。
だから小説をものしようとすれば、まずは自分のよく知っている世界を書け、とは小説指南の第一歩。
しかし、この「小説王」は、作家と編集者が火だるまになりながら傑作をものにする過程を、まさしく小説というツールで描かなければならないわけだから、作者にとって二重三重にしんどく、そして読者にとって味わい深い。
本来であればひたすら私小説的になるところを、思いきり娯楽として成立させ、そして最後に泣かせてみせる。なんか、小説の王道とはこの作品のようなものなのかな、と。
表紙のイラストは、編集者が血のにじむような努力の果てに傑作劇画を求めていく、あの故土田世紀の「編集王」から採られています。このアイデアはすばらしい。
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