hiyamizu's blog

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絲山秋子『まっとうな人生』を読む

2022年07月21日 | 読書2

 

絲山秋子著『まっとうな人生』(2022年5月30日河出書房新社発行)を読んだ。

 

河出書房新社のそっけない内容紹介

ひょんな場合で偶然再会することになった「花ちゃん」と「なごやん」。あの『逃亡くそたわけ』から数十年後、富山県を舞台に、家族を持ったふたりの新たな冒険の幕を開ける。

 

「子供の一日は長い。あたしの一日は短い。」で始まる。

 

しずか:旧姓花田、花ちゃん。著者と同じく双極性障害を持つ37歳。17年前の前作(「逃走くそたわけ」)の十数年前、友達の名古屋出身の「なごやん」と精神病院から九州縦断の逃避行を繰り広げた。いまは嫁ぎ先の富山県で夫と娘・佳音(カノン)10歳と幸せな家庭を持っている。コロナ禍、ときどき病が顔を出して、いっとき夫と不安定な関係になっても、なんとかまっとうに生きていく。

アキオちゃん:しずかの10歳上の夫。富山の農機具販売の仕事。

なごやん:蓬田司。かって、しずかと一緒に福岡の病院を逃亡した。今は高岡に妻・亜里渉、小1の息子・拓海と暮らす。一緒にキャンプに行ったり、しずか一家と家族ぐるみの付き合いとなる。

 

 

初出:「文藝」2019年冬号~2022年春号

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

当方にはまったく興味のない富山の町のショッピングセンタなどローカルな固有名詞がズラズラ。うんざりしながら適当に飛ばし読みしたが、こんなのんびりした生活、これこそが人間の本来の生活、つまり「まっとうな人生」なのかもと思わされた。

 

読みながら、「田舎には住めないなあ」と思ったが、東京に住んでたってほとんど外出せず、人込みや、文化的イベントにはすっかりご無沙汰で、実際は「自然が遠い田舎住まい」になっていることに唖然。

 

 

絲山秋子の略歴と既読本リスト

 

 

のんびりした富山の生活、間が抜けたような方言(失礼)の中で、ときどき絲山さんの辛口、なにげない深い言葉が飛び出す。

 

「ママ友のランチは配慮オバケやマナー警察がうろつくホラーハウス。」

 

気を楽にと思って口にする言葉「ほどほどで」

「ほどほどという言葉の裏には、あなたの努力に関心はないけれど私の期待するレベルは満たしてくれよ、という要求が隠れている」

 

「暑いときも寒いときも、体が苦しいときも頭がおかしいときも、その気持ちをきちんと感じる。不安も恐れも受け止めるしかない。楽しかったら笑い、美味しかったらちゃんと喜ぶ」

 

「動物にしか教えてもらえないことはたくさんある。食べること、眠ること、運動、狩りや遊び、甘えること、安心すること、気持ちを伝えること、命あるものにとってそれがどんなに大切なことか。そして、今この時がすべてであること。」

 

「生命は飴みたいなもの」、「途中で噛んでしまったらつまらない」、(飴が細くなってぽっきっと折れる)「それがあたしの終わりだとしても、それを味わえばいいのではないか」

(ダメ男の発想:あっと思った時には「のど飴」をそのままスルリと飲み込んでしまった。意味ないじゃん!)

コメント
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