hiyamizu's blog

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伊岡瞬『朽ちゆく庭』を読む

2022年07月13日 | 読書2

 

伊岡瞬著『朽ちゆく庭』(2022年6月10日)を読んだ。

 

集英社による紙版の紹介は簡単すぎるので、デジタル版の紹介

かつてのセレブタウンに引っ越してきた山岸家。中学生の真佐也は、転校前に部活をやめ、以来、学校をサボり、部屋にこもるようになる。けれど、その部屋には小学校からの友人・純二がこっそりと遊びに来ている。心配する母親・裕実子と対照的に、父親・陽一は不在がちであまり関心を示さない。真佐也はある日、家の向かいの公園でうずくまっている少女・あかりを見かける。その少女には怪しげな噂がつきまとっていた。一方、陽一は急に在宅勤務だと言って会社に行かなくなり、裕実子は勤務先の税理士事務所の上司と“残業”という名の密会を続けていて……壊れゆく家庭を描く“危険”なサスペンス長編。

 

山岸一家が多摩地区の朝陽ヶ丘ニュータウンに引っ越す場面から始まる。

山岸裕実子(42歳)は佐藤税理事務所で一般事務のパートタイマーをしている。夫・陽一(45歳)はゼネコンの東京本社で現場管理に仕事をしていて、泊まり込みの仕事も多い。

一人息子の真佐也(中2)は、学校をさぼりがちになっていて、引越しによりガラの悪い連中がいる赤川二中をやめてあさひ台中学に転校した。しかし、転校後もほとんど学校に行かない真佐也の部屋には、裕実子の出勤後に赤川二中からの友人・滝野純二がゲーム・「コルタワ」を一緒にやるために忍び込んで来ていた。

 

赤川二中で純二を虐めているのは、いやみな松野琉生と、乱暴な相沢恭太たちだ。純二をかばった真佐也に、恭太がスマホの画面を見せて「あまえの態度しだいで拡散するかもな」と脅した。真佐也は学校を休むようになった。

 

裕実子は勤め先の所長・佐藤一郎(52歳)と浮気していて、同僚には恭太の母親・相沢桃子がいた。

やがて、近所の小2の少女・坂井あかりの死体が山岸家で発見され、真佐也が自供し、白石真琴弁護士が担当する。そして、二転三転が始まる。

 

初出:「小説すばる」2020年8月号~2021年9月号(「濁流」を解題)

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

スイスイ、どれどれと読み進めてしまうが、読後に残るものは少なく、後味も爽やかではない。

複雑過ぎる殺され方をしていて、それによって最後の詰めを複雑にしているのは、公正と言えるのか?

 

子供は親が思っているよりも両親の真実、事情を良く知っていることが多い。たいして、親は、思春期の子供の本心は掴みにくい。どうしても幼い時の記憶に引きずられ成長を把握しがたいし、悪いことは信じたくない気持ちもある。また、親の嘘がばれていないと思いこんでいることも多い。

 

白石弁護士が言う。「…当職も、今まで少年事件をいくつも扱ってきました。彼らが本質のところで純真さを残していることはよく感じます。その一方で非常に場当たり的で、感情や雰囲気で発言を変え、正邪の判断基準にバラつきが多いのも現実です。 大人の犯罪者が否認から自白に転じると、かなりの割合で真相を語ります。しかし、子供の場合は『本当のことを言っても信じないなら騙してやろう』と考えたりします」

 

 

伊岡瞬の略歴と既読本リスト

 

コメント
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