hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

宮本輝『三千枚の金貨』を読む

2011年02月02日 | 読書2
宮本輝著『三千枚の金貨 上下』2010年7月光文社発行、を読んだ。

桜の根元に三千枚のメープルリーフ金貨が埋めた。場所は和歌山県のどこか。「みつけたら、あんたにあげるよ」病院で見知らぬ男性患者から告げられる。43歳の主人公と、会社で3銃士と呼ばれる2人の同僚と、その病院の看護師だったバーのマダムの4人は、患者に関する調査会社の報告書を手がかりに、宝探しを始める。

宝探しがメインなのだが、祇園の芸舞妓の暮らしぶり、シャンパン、サバの焼き方などに関するうんちくが語られる。なかでも、ゴルフの話は、あらゆるところで長々と出てくる。そのうちいつの間にか、宝探しはサイドストーリーとなり、主人公のシルクロードの旅の思い出、中年サラリーマンの暮らしぶり、幼児虐待、政財界のフィクサーとなったファイナンス会社、18年間ゴルフの練習場しか行かないバーテンダーの話、実家のおばあさんの蕎麦の作り方などが自在に展開する。

BRIO2006年4月号~2009年8月号連載+書下ろし



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

上巻は宝探しで引っ張り、後半は謎の患者の過去と、さまざまの話で読者を飽きさせない。部分部分では手練の技を見せるが、全体のまとまり、ダイナミズムはない。長期に渡る雑誌連載のためだろうか。



宮本輝
1947年、神戸市生まれ。追手門学院大学文学部卒。
1977年、「泥の河」で太宰治賞を受賞し、文壇デビュー。
翌年、「螢川」で芥川龍之介賞受賞。
1987年、『優駿』で吉川英治文学賞受賞。
2010年、『骸骨ビルの庭』で司馬遼太郎賞受賞


コメント
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