“ヤにございますッ”
13の私は、父に喰って掛かった。
しかし結局、私一人拒絶しても、
否応なく時は流れ、情勢刻々と変化。
変化し続ける時と共に、芽生える命。
私はもうすぐ生まれるややを撫でた。
そして、
姫様の小さなお手々をそっと取り、
帰蝶「私、そなたの兄が嫌だった…」
私と殿のややに、その手を押し当てた。
市姫「ふぅん?」
首を傾げて、ゆっくり目を閉じ、
私のお腹に小さな耳を押し当て、
「でも今、好き…?」
帰蝶「我ら、恋敵じゃ」
市姫「こいがたき…?」
帰蝶「同じ方を好いてしまった者同士…、苦しいな…」
市姫「え、苦しいの?」
大丈夫?お腹から耳を外し、
誰か呼ぶ?お薬飲む?
そんな心配そうな顔を私に向けた。
帰蝶「うぅ…ん」
ゆっくり、首を横に振って、
「兄と、好いた方との狭間で、苦しいのじゃ…」
市姫「好きなのに、苦しいの?」
帰蝶「二人が好きだから…苦しい」
兄も好き。殿も好き。
二人を嫌いになれば、心楽であろうに、
側室生駒が正妻に上がってさえすれば、
市姫「敵なら、負けてはなりませぬ」
13の私は、父に喰って掛かった。
しかし結局、私一人拒絶しても、
否応なく時は流れ、情勢刻々と変化。
変化し続ける時と共に、芽生える命。
私はもうすぐ生まれるややを撫でた。
そして、
姫様の小さなお手々をそっと取り、
帰蝶「私、そなたの兄が嫌だった…」
私と殿のややに、その手を押し当てた。
市姫「ふぅん?」
首を傾げて、ゆっくり目を閉じ、
私のお腹に小さな耳を押し当て、
「でも今、好き…?」
帰蝶「我ら、恋敵じゃ」
市姫「こいがたき…?」
帰蝶「同じ方を好いてしまった者同士…、苦しいな…」
市姫「え、苦しいの?」
大丈夫?お腹から耳を外し、
誰か呼ぶ?お薬飲む?
そんな心配そうな顔を私に向けた。
帰蝶「うぅ…ん」
ゆっくり、首を横に振って、
「兄と、好いた方との狭間で、苦しいのじゃ…」
市姫「好きなのに、苦しいの?」
帰蝶「二人が好きだから…苦しい」
兄も好き。殿も好き。
二人を嫌いになれば、心楽であろうに、
側室生駒が正妻に上がってさえすれば、
市姫「敵なら、負けてはなりませぬ」