ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

紅の旗

2011-01-28 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
乙和「ニヤァ」と笑って、じーっと能子を見ていた。
能子「…?」
葛葉「最上川沿いにキレイな紅花畑があるわ。観たかったら最上川ライン下りでもして見せてもらいさい。童ちゃんに頼めばいいわ」と能子にウインクした。
能子「え!?」
葛葉「ここ酒田は、京や堺の商人たちと結び付きが濃いわ。エジプトからシルクロードを通って、呉、そして、日本に運ばれた紅花は、呉藍(くれあい・くれない)に染まる。京では、京染めって言ってるかしらね。布や着物の紅花染めは、花びらを水に浸し乾燥させて、最初は黄色、何度も何度も染め上げ真紅に染める…手間の掛かる工程だけど、真紅に棚引く旗は圧巻だったわね」と能子をみた。
能子「旗…」と胸に押し当てた手をぎゅっと握った。
弁慶「そっか、平家の…」
葛葉「ここ(酒田)って、交易船の拠点。多くの商売人が行き交い、いろんな物が運ばれてくる。大豆、小豆、たばこ、蝋、漆、薬、反物、紙などなど…東北地方の商業発展の基盤よ。京から舞妓らを連れて来たのも、商人の接待用さ」
能子「あ…だから、酒呑(さけのみ)ぞうさんだっけ?私の能を舞妓さんたちに見せたいって」
葛葉「読み方、違ってるわ。酒呑童子(しゅてんどうじ)ね。酒田 最上の舟運は、今は亡き藤原秀衡(義経のおじ&パトロン)の妹君 徳尼公が開いた港でね、落ちぶれた武士に声を掛け、仕事を斡旋し、ここを管理させているってわけ。その一人が酒呑童子で昔はかなり悪さしてたみたいだけど、今はタダの羽振りのいい親父♪上手く巻かれときな。ガッポリ稼げるわ」
能子「分かったわ。上手くやる」とニッコリ微笑んだ。
弁慶「これだから女って…ん!?」
ドヤドヤ、ガヤガヤ、ドヤガヤと廊下から賑やかしい声が聞こえ、
葛葉「どうやら、噂の張本人がお越しの様ね」
乙和「ニヤァ」と笑ったところで、バーン!!と戸を開いて、
鞍馬「こらぁ、能子ぉ!おまぇ…」と飛び掛かろうとしたら、ぐいっと肩を掴まれ、ポイと後ろに倒され、ドーン!「ぎゃん!」と尻餅付いた。
童ちゃん「よっちゃん!もう起きていいのか?」と駆け寄り、ジリジリにじり酔って?来た。
能子「は、はい」と仰け反って「(酒臭ぁ)だ、大丈夫です…」と後ろに下がり、「ご心配お掛けしました」と離れて、ペコッと頭を下げた。