ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

秘密の話

2011-01-20 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
ささ、どうぞ、と。
にっこり笑って「いらっしゃいませ」ペコッとお辞儀、忍者の足元 黒脛が見えた。
義経「(全黒脛だ、黒脛…)ん!?この足は!」と思った瞬間に顔を上げたが、後姿がチラッと見えただけで確認取れなかった。その後姿に「れ?」と首を傾げた。
傾げている間にも次から次へといらっしゃる組の皆さんで、再び「いらっしゃいませ」とお辞儀して、足元を見た「んん!?」と思った瞬間、
黒脛巾「よう。なかなか似合ってるぞ」と声を掛けられ「コソ…」と耳打ちされた。
信じられないような気持ちで、顔を上げ、その男の後姿に、
義経「!?無事だ…って」どういう事だ?と聞こうとしたが、押し寄せる組の連中に後姿を見失い、何だか釈然としないままにされた義経と読者様だが、
今は兎にも角にも…仕事(居酒屋の営業)だ。
ムジナ内は組の皆さんで埋め尽くされ大繁盛!?かのように見えるが、全員お抱え身内の忍者の接待である。儲けにはならんなと思いながらも「忙しくなるぞ!」と頬をパパパパンと左右二発ずつ叩き、気合を入れたと同時に己が現抜(うつつぬ)かしてないか確かめた。
義経「いっってぇ…夢じゃねぇ…」と分かった。
さて、居酒屋が忙しくなる2時間ほど前に遡るが、酒田のヒーロー控え室では気を失ってぶっ倒れた能子が義隆と山吹の横で寝かされていた。
能子「ん…」と目が覚めた、その隣に義隆の寝顔があった。
キョロと辺りを見渡し「誰も居ない…」のを確認し、すぅ~…と義隆の首に手を伸ばした。「この子が」と顔面や脳に血液を送る頚動脈に指を押し当て「義なッ!」と言いかけた所で、
ガッ!と腕を掴まれた。
能子「お…起きていたの?」
義隆「誰だ?お前」とすごい力で腕を掴み、憤怒の相で睨みを利かせていた。
能子「ちょ…ちょっと待って!私、お母様の友達で…」
義隆「…(どっちの母上?)」
能子「私とは、はじめましてよね。父上の妹で能子っていうの」
離してくんない、腕 痛いんだけど…。
義隆「(どっちの)父上?」
能子「話聞いてない?」ちょっと、腕痛ってば!
義隆「今、俺を殺そうとしただろ?」グッとさらに力を入れた。