奇跡への絆

図師ひろき

税制改革に血を通わせるために

2015年01月31日 22時26分40秒 | Weblog

 公益社団法人『経済同友会』が「財政再建は待ったなし~次世代にツケを残すな~」という提言を発表しました。

 その内容は、2017年4月の消費増税後も、税率を段階的に引き上げ、2024年に17%まで増税するよう求めています。

 日本の経済状況については、放漫財政と改革先送りにより、1,000兆円超の債務残高と毎年40兆円の赤字を出していると指摘しているうえで、国家財政の信頼喪失は、今後突然の財政破綻を引き起こし、国民生活に壊滅的な影響を与えると警鐘を鳴らしています。

 また、財政再建のためには「経済成長」「歳出削減」「歳入拡大」のそれぞれで、全力を尽くすことが必要条件であると主張しており、2030年度までの財政状況についても試算し、社会保障費を毎年5,000億円減らした上で、2017年4月に予定されている消費増税10%を実施した後も毎年1%ずつ引き上げ、2024年に17%になるまで増税することで、2020年度の基礎的財政収支黒字化が達成できると具体的数値目標まで提示しています。

 さらに社会保障費については、医療・介護分野の給付抑制を目的として、70~74歳および75歳以上の医療費自己負担を3割に引き上げることや、受診時に個人が毎回100円負担する定額負担制度の実現や、介護サービス自己負担の2割への引き上げなどを求めています・・・

 確かに現実的な消費税引き上げと社会保障関係の自己負担増の内容だと思いますが、この数字が押し付けられるようなことがあれば、高齢者の自殺者数が今の倍以上になることも間違いないでしょう。

 経済同友会が消費税を17%に引き上げることなどを国に提言していることは、以前から知っていましたが、社会保障費の給付抑制の関してまで言及していることは今回初めて把握しました。

 社会保障費や教育費の抑制は、国への信頼喪失に繋がる最たるもので、国家財政の健全化のために社会的弱者を切り捨てたのでは、何のための改革なのか分かりません。

 私が社会保障制度と税制を学んだデンマークでは、消費税は20%以上、所得税なども日本よりはるかに高く可処分所得は3割程度でした。

 それでも国民は政府のさらなる増税政策を良しとし、国政選挙はもちろんのこと地方選挙でも80~90%の投票率が示すように、政治に関心と信頼を寄せている国でした。

 何故か?

 それは弱者を守ることを大前提に政策が構築されているからです。

 医療費や介護費用はすべて無料、学費も大学卒業まで無料。

 そして医療福祉の現場では、むげな延命措置はせず、本人が望む環境で、本人が望む人たちに見守れながら看取られる「在宅死」制度が確立されていました。

 老後と子育て、教育に不安を抱かなくても良いために、預貯金をほとんどせず暮らせるという国でした。

 日本の経済再建がまったなしで、次世代にツケを残さないことももちろん大切ですが、同時に弱い立場の方々を守る制度と本人の意思が尊重される看取りができる法整備が不可欠であります。

 税制改革には、政治に対する信頼回復と、まず国会議員をはじめとする議員が身を切る改革が何よりも必要です!