『両人、この男は、トビテスと言う。今度の船旅の漕ぎ手の頭をつとめる男だ。トビテス、こっちがアバス、こっちがダナンだ。先ほど指示したとおり、二人をエブリジエまで頼む。それからの段取りは判っているな。お前に渡した書付けは、リブレジエの浜頭に渡せば、お前をはじめ7人の身柄を、この二人が帰ってくるまで預かってくれる手はずになっている。判ったな。アバス、ダナン、トビテス、昼めしを終えたら、直ぐに出発しろ。早ければ夕方、薄暮の頃にはエブリジエの浜に着く、三人とも頼むぞ。全員生きて帰ってくるのだぞ』
オキテスは、三人に言い含めた。
『あ~あ、それから、アバスにダナン、これは、エブリジエ、ケシャン、リブレジエの簡単な地図だ。道中充分気をつけて、帰って来い。俺が待っている』
アバスにダナン、トビテス以下7人の漕ぎ手の者たちは、砦の浜をあとにした。陽は頭上にあった。
ダナンは驚いた、漕ぎ手の数で考えた船足の速さの比ではなかった。船足は想像を絶する速さであった。岸寄りの海風は西からの風であった。快速艇の帆は風をはらんでいる、船尾の三角帆もはらんでいた。艇は波を割って海上を走った、いや、走ったというより、すべったという表現の方が合う。
陸の波打ち際から、50メートルから100メートルぐらいしか離れていない海面をすべるようにエブリジエを目指した。
オキテスは、三人に言い含めた。
『あ~あ、それから、アバスにダナン、これは、エブリジエ、ケシャン、リブレジエの簡単な地図だ。道中充分気をつけて、帰って来い。俺が待っている』
アバスにダナン、トビテス以下7人の漕ぎ手の者たちは、砦の浜をあとにした。陽は頭上にあった。
ダナンは驚いた、漕ぎ手の数で考えた船足の速さの比ではなかった。船足は想像を絶する速さであった。岸寄りの海風は西からの風であった。快速艇の帆は風をはらんでいる、船尾の三角帆もはらんでいた。艇は波を割って海上を走った、いや、走ったというより、すべったという表現の方が合う。
陸の波打ち際から、50メートルから100メートルぐらいしか離れていない海面をすべるようにエブリジエを目指した。