『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦   10

2013-05-08 08:04:16 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ほう、そうか。まあ~、この地に来ることについて、いろいろと考えた。ここが我々、民族の建国の地であるか否かについては全く判らない。先ず住んでみようか、そういったところだ。これを皮切りに我々の流浪が始まるやもしれん。俺たちは、このクレタについて多くは知っていない、テカリオンまた、いろいろと知恵を貸してくれ』
 『判りました。私で力になれることでしたら、どれだけでも手伝います』
 話は多岐に及んだ。トロイ戦役後のギリシアの情勢、戦役に参加した者たちの消息などについて彼は語った。
 『そうかそうか、メネラオス、オデッセウスもまだ故国には帰っていない、消息も定かではない、奴らはどうしているのだ。この地中海の広さのことを思うとエーゲ海の南は、島は多いが小さい。テカリオン、そうは思わんか。この広い海洋のどこを彷徨っているのだ。アガメムノンも、アイアースもそのようなことになったとは、奴らもトロイ焼き討ちの報いを受けたのか。そうとしか言いようがないな。ところで、このクレタから参戦していたイドメネスはどうなったか、その消息は、、、』
 『イドメネスのことですか、それは、今の領主が上陸を一歩も許さず国外へ追っ払ったと聞いています。そのイドメネスですが、上陸地を探しに地中海を西に向かったと耳にしています』
 『ほっほう、そういうことになっているのか。奴も言ってみれば、ミケーネ、スパルタの人間だ。海賊稼業で海を渡っているか、はたまた、海の藻屑になっているかもしれん。ところでテカリオン、今日は、これから、いろいろなことについて話し合うのだが、これからのこと、お前、話にのるか、どうだ。それについて、軍団長、パリヌルスらと話し合ってくれ』
 テカリオンとの話の中に耳にした話もあったが『それは初耳だ』の風体を装って話を聞いた。


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