『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  199

2014-01-31 08:24:03 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人はアヱネアスの宿舎の前に来た。イリオネスもそこにいる、幸いした。
 『統領、軍団長、おはようございます。昨夕は大変ごちそうになりました。私たち、久しぶりの陸上での夕食でした、ありがとうございました。手前の者たちも喜んでいました。夕食のあとパリヌルスらといろいろ話し合い、用件を終えました。また、オロンテス殿とも話し合いました。今朝から、小麦を小屋のほうへ運び入れました。私はこれからキドニアの集散所のほうへ行き、こちら様とのつなぎの話を整えます。オロンテス殿と一緒に参ります。只今この時点で話は成ったと了承いただいて結構です。万事うまく話は整います。何の心配もいりません。キドニアでの用件を済ませて、私はミレトスに立ち寄り、母港のミチレーニへ向かいます。春となるころにはこちらに参ります。何卒宜しくお願いします。では、これにて失礼いたします』
 彼は話し終えて場を辞した。
 『では、オロンテス殿、浜で待っております』
 『判りました。私も急ぎ浜へ向かいます』
 オロンテスは、アヱネアスとイリオネスに小麦ことについての報告を済ませ、キドニアにおける用件を告げて場を離れようとした。
 『おう、オロンテス。お前の事だ、構想はできていると思う。ところで帰りはどうする?』
 『そのことでしたら気遣いはいりません。同行の者もおります、道中、調べておきたいこともあります。帰りは歩きで帰ります』
 『判った、道中は気をつけろ。何事もうまくいくよう期待している』
 『ありがとうございます。では、行ってきます』
 オロンテスは場を離れた。広場では同行する三人が支度を整えて待っていた。
 『オロンテス棟梁、言われた通り、準備は整っています』
 『おっ、そうか。行こう』
 彼らは浜へ向かった。浜には、パリヌルスもオキテスもいる、二人はテカリオンと話し込んでいた。
 『おう、その件は了解している』
 『お前は大した奴だ。俺たちに有無を言わせず仕事をさせる。春になって、お前の来るのを待っててやる。互いにうまい酒を酌み交わそう』
 『そのように言ってくれるのか。ありがとう、その日が楽しみだ。ではでは、俺は行くぞ』
 『おう、道中、気をつけていけ』
 『ギアス、では頼む』
 ギアスは、テカリオンとオロンテス一行を舟艇に乗せて、テカリオンの船へと運んだ。
 海鳥が群れて飛び交っていた。


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