統領、イリオネスをはじめ船上の者たちは、見定めることのできない遠い距離にもかかわらず、浜にたむろしている者たちの突き刺すように投げつけてくる目線を感じ取っていたのである。人間が動物的感性と直観で生きていた時代である。
浜にいる者たちの使う船といえば10人に満たない乗り組みで使いこなせる大きさの漁船である。それらの船数隻が群れて狙う獲物に襲い掛かる。小回りが利いて海賊行動がしやすい船である。舟艇に乗っている者たちは、そのように見て取っていた。浜の者たちが舟艇に注目するのに理由があった。舟艇の構造が進化した船のカタチをしていたことである。舟艇に乗っている人間の数に比して、船足の速さ、艇尾にある三角帆、彼らが知ってはいない構造の船であることであった。
船上の者たちは、統領を真ん中にして話し合った。
『おう、クリテス、お前、、あの島について何か耳にしていることがあるか』
『はい、風聞ですが、このキドニア地区を荒らしている海賊どものたむろしている島ということを耳にしています。デロスまで聞こえています』
『なるほど、あ奴らは海賊か。このあたりを航行するときは気をつけねばならんな』
『え~え、そいうことです』
『クリテス、もうひとつ聞くが、同じ賊でも、山賊はどうだ』
『山賊ですか。それは土地土地に住んでいる者たちに、その土地生え抜きの豪族たちの噂を聞いて判断しなければならないと思います。今度、父と会われるときにそれらを質してみてください』
『ほう~、そうか。落ち目の豪族どもの山賊化もありうる。イリオネスそれらの事も頭の片隅においておけよ』
浜にいる者たちの使う船といえば10人に満たない乗り組みで使いこなせる大きさの漁船である。それらの船数隻が群れて狙う獲物に襲い掛かる。小回りが利いて海賊行動がしやすい船である。舟艇に乗っている者たちは、そのように見て取っていた。浜の者たちが舟艇に注目するのに理由があった。舟艇の構造が進化した船のカタチをしていたことである。舟艇に乗っている人間の数に比して、船足の速さ、艇尾にある三角帆、彼らが知ってはいない構造の船であることであった。
船上の者たちは、統領を真ん中にして話し合った。
『おう、クリテス、お前、、あの島について何か耳にしていることがあるか』
『はい、風聞ですが、このキドニア地区を荒らしている海賊どものたむろしている島ということを耳にしています。デロスまで聞こえています』
『なるほど、あ奴らは海賊か。このあたりを航行するときは気をつけねばならんな』
『え~え、そいうことです』
『クリテス、もうひとつ聞くが、同じ賊でも、山賊はどうだ』
『山賊ですか。それは土地土地に住んでいる者たちに、その土地生え抜きの豪族たちの噂を聞いて判断しなければならないと思います。今度、父と会われるときにそれらを質してみてください』
『ほう~、そうか。落ち目の豪族どもの山賊化もありうる。イリオネスそれらの事も頭の片隅においておけよ』