『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1503

2019-03-27 07:07:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 散会に及んでアエネアスがパリヌルスら三人に声をかける。
 『おう、どうだ!午後のことだが、武闘訓練場に出向いて手合わせしないか?』
 『あ~っ!それはいいですね。やりましょう』とパリヌルスが声をあげる。
 『俺と軍団長は、訓練場にいる。手がすき次第来ればいい。待っている』
 パリヌルスら三人が各自の持ち場へと向かう、アエネアスとイリオネスは、会所で昼食時を過ごす。
 昼食を終えて二人は、武闘訓練場へに向かう、剣合の身支度を整える。
 アエネアスがリナウスに声をかける。
 『おう、リナウス、お前も防具を身につけろ!ひと汗流そう』
 彼ら三人は、かわるがわる1対2の剣合を楽しむ。、
 パリヌルスとオキテスが来る、パリヌルスは配下の一隊を連れてきている、オロンテスは多忙らしく姿を見せない。
 パリヌルスとオキテスは、身支度を整える、アエネアスらの剣合の仲間入りをする。
 彼らは、かわるがわる、いれかわりたちかわりして、2対3で対峙して剣合のつば競り合いを楽しんだ。
 アエネアスは、我を忘れて剣合に熱中する、彼の剣さばきが鋭く打ち込まれる、何かを振り切りたい衝動の剣さばきが動きの中にある。
 イリオネスは、アエネアスの熱中の剣さばきが日ごろのアエネアスにはない異様さを感じ取っていた。

 アエネアスが夢を見ている、夢の中で誰かがアエネアスに声をかける。
 『アエネアスよ、いらつくな!クレタの離脱、建国の地の探査の壮図に就くのは、1か月半も先のことだ』
 アエネアスは答えている。
 『いや、時日の経つのは早い、時は俺を待たない。今の俺の有り様では、迫りくる壮途に就く勇気が持てないでいる』
 夢の中、対峙する、対手が押してくる、一歩退く、壁が背にあたる、身を引けない、追い詰められている自分を感じて身構えをあらためる。
 自問自答している。
 事の正否が脅かされている、逃げは許されない、自縛で身が動かせない、己自身と闘っている。
 『降りかかる火の粉を振り払え!恐れず一歩を踏み出せ!』
 誰かが背中を押す、その一歩が踏み出せない自分がいる。
 夢の中でそのような自分を見る、情けない、『起ちあがろう』で覚醒する、目が覚める。
 起床の頃合いである、夜がまだ明けてはいない、真っ暗闇である、朝のはずである、夜の明けるのがおそい、アエネアスは明ける朝の明るさを待ち焦がれる。
 アエネアスは、明ける朝の明るさがカオスの雲霧を吹き消すと信じている。
 襲い掛かる疑心暗鬼の妄想、我退かずを心して身構える、床を蹴って起き上がる、戸外へ出る、黎明の朝がおとずれていた。
 朝行事の浜へと歩を進めた。