『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1106

2017-08-28 13:30:25 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『軍団長、キドニアからの帰り船は、今日は少々遅くなるかもしれないですね』
 『おう、そうか。オキテスが、ガリダのところへ出かけているのか』
 『そうです』
 代わって、アエネアスが声をかける。
 『まあ~、落ち着いてここで時を過ごせ。彼らの顔を見る、その時を待つのが、俺は楽しい!そういうもんだろう、パリッ!』
 時間が経っていく、終礼の時が来る。
 ヘルメス艇の帰着が遅れている、海上の模様は平穏である、荒れの心配はない。
 『ドックス、終礼を頼む』
 『解りました』
 ほどなく、オキテスのよくとおる張りのある声が聞こえてくる、オロンテスと声高に何事かを話し合いながら近づいてくる。
 『軍団長、キドニアからの帰り船が着いたようです』
 二人が建造の場に姿を見せる。 
 『あっ!統領も軍団長もこちらですか!私ら二人を待っていてくださった。それはありがたいことです。感激です』
 二人は感動を言葉にする、イリオネスが話しかける。
 『おう、オキテス、オロンテス、ご苦労!今日の海はどうであった?』
 『はい、上機嫌でした。帰りにいい風が来なかっただけです。天気晴朗、風すずやかにして、波穏やかでした』
 『お前、なかなか文才があるな、それは重畳であった。マリア行きの日程を決めた。8月10日頃とした、もし、事情があれば早めるかもしれない。出入りは6日くらいとしている』
 『クレタ島の今日このごろは、まったく雨の日がない好天が続きます。この日和のいい時期に出かけてください。私らの心配の種が少なくて済みます』
 『ほう、そうか。お前うれしいことを言ってくれるな』
 ドックスが現場の者らの終礼を終えてオキテスの傍らに来る、イリオネスとの話の終わるのを待つ、オキテスに声をかける。
 『オキテス隊長、ご苦労です。ただいま終礼を終えました。作業の進捗に異常がありません』
 『そうか、了解、ご苦労。ドックス、建造用材の件だが、3日後の午後、ヘルメスで浜に着荷する。製材担当の者が用材を整えてくる、受け取り方よろしく頼む』
 『解りました』
 パリヌルスは、出来あがった新艇の図面組をオロンテスに手渡す。
 『オロンテス、新艇の図面組が出来あがった。組数は5組だ。それから戦闘艇の図面組の件だが、ここ3日の間に出来あがる。集散所用として2組を準備している。追加は後日だ。それから、建造計画、集散所への引き渡し価格等については、会議でもって決める。また、船舶の改造、修理等の事業計画も案をつくっている』
 『おう、了解した。図面のことだが、本当にうまく描かれている。大したもんだ!俺の腕ではこうはいかない。ありがとう。必ずいい結果が出る。計画、引き渡し価格等課題の件、よろしく頼む』
 『おう、心得た』
 パリヌルスは、右手で拳をつくり左胸を打つ、オロンテスとパリヌルスは打ち合わせを終えた。