『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  155

2013-11-27 08:18:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アレテスは、パリヌルスがもたらした嵐情報に対応して浜を整備した。
 『おう、アレテス、いいだろう、万全だ。お前らも充分に気を配って事故のないようにしてくれ。事故はよくない』
 『そうですね。充分に気配りいたします』
 『そうしてくれ。そのようにして、安全第一こそ大事なことだと俺は思っている』
 ギアスの舟艇が、彼らの夕食を積んで浜に戻ってきた。
 『アレテス、もうそろそろ夕めしの頃合いだ。暗くならないうちに夕食をすませばいい』
 『え~え、そのようにします。隊長もみんなと一緒にいかがですか』
 『うっう~ん、ありがとう。俺たちが一緒に食べるとなると足りなくなるぞ』
 『その心配は無用です。心配に及びません』
 『ギアス、アレテスが言ってくれているのだが、彼らと一緒に夕めしを食べないか』
 『しかし、我々の分もあるのかな?それさえオーケーならば彼らと一緒に食べます』
 『アレテス、どうだ。足りそうか』
 『え~え、大丈夫です。足ります』
 『よし!そうであれば、皆と一緒に夕食を食べる、喜んで馳走になろう』
 パリヌルスの返事を聞いたアレテスは、手すきの者を呼び集め、夕食の場づくりを指示した。
 『夕食は、パリヌルス隊長たちも一緒だ。夕食の場を作ってくれ。このように焚き火のシマを造り、全員で大円陣で夕食を食べる。判るな。トッカスに言って昼に釣った魚を焼いて食べるから、そのようにするようにと言ってくれ』
 アレテスは、手にした棒ぎれで砂地に図を描いて説明した。
 『隊長、今日、昼に魚釣りをやったのです。思いのほか大漁でした。新鮮な魚が充分にあるのです。一緒に食べましょう』
 『ほう、大漁だったと』
 『え~え、そうなんです。このあたりの海、私たちが想像するより魚影が濃いようです。魚の自給自足がいけそうな気がします』
 『それか、それはいいことを耳にした。早速、イリオネス、オロンテスに話して、そのことを検討しよう。アレテス、ありがとう』
 夕食の時が訪れた、準備が整った旨の連絡がくる。
 炎を上げている焚き火のシマ、彼ら全員が焚き火のシマを囲んでの大円陣である。焼ける魚の香ばしい匂いが漂い、鼻をついてくる。
 アレテスが声をかける。
 『隊長、いきましょう』
 『おう、行こう、馳走になる。ギアス、行くぞ』
 彼らは大円陣を組んでいる食事の場へと足を運んだ。
 『おう、これは旨そうだ。ここで焼いた魚にあえるとは』
 『ギアス隊長、とれたての魚、うれしいですね』
 彼らは、大円陣に加わった。拍手がわく、彼らが歓迎してくれている、彼らの気持ちが、ジイ~ンと伝わってきた。