『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  151

2013-11-21 08:17:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 話に区切りをつけたオキテスは、話をパリヌルスに引き継いだ。
 『オロンテスが危惧している件もあります。このクレタの地において、我々が武力に訴えなければならない軍事的な事変の起きる可能性についての事情も探る必要があります。そのような状況の中で我々民族の安泰を図り、入るを計り、出るを制して、財を蓄える。このことに力を入れて事を運ぶには、調査を行って方針を決めることを提案いたします。このクレタの過去には、造船で栄えた時代があったとか、それを耳にしています。我々にも造船の技術があります。そのほかにも『方角時板』また、オキテスの思いつきによる『風風感知器』の技術もあります。これらをもって交易をおこない入るを計っていく。我々が手に入れた小島を生産の拠点に、また、交易の拠点にと考えています』
 二人の話が終わった。アヱネアスもイリオネスも二人の話に感じ入り、深くうなずいた。
 『おう、パリヌルスにオキテス。君らの考えていることがよく判った。そのような条件でこの地における行動展開をするべきと理解した。充分に理解した。この件は、これでよしとして、軍団長。築砦の討議をやろう』
 『判りました』
 答えたイリオネスは、一同と目を合わせて姿勢を正した。彼は、おもむろに話し始めた。
 『オロンテスの提案から始めて、パリヌルスにオキテスの担当している部門の考えを理解した。君らの提案で我々民族の目指す方向が見えてきている。君たちの提案を尊重して『これから』を考え、行動に移していこう。では、これより懸案の築砦の件についての討議に入る』
 彼は、言葉を切り、再び、列席している四人の目と目を合わせた。
 『諸君、見てくれ。これが現在の集落の状態だ。現在の使用状況も書き入れてある。また、建物が使用に耐えれるかどうかについても触れてある。○、□、×の印をつけてある。築砦のカタチは、砦、城市の形成、それをどのような形態とするかを考えてもらいたい』
 『軍団長。これは入念に調査されて書いてありますね。状況が見えます』
 パリヌルスら三人は、その木板に見入った。
 20数棟ある建物について、イリオネスは評価していたのである。×印の付いた使用に耐えない小屋らしき建物が3棟、少々手を入れれば使用できる建物が8棟残る16棟が現状で充分に使用できると評価されていた。