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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  63

2013-03-28 09:28:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、いいだろう。その予定で行こう、ギアス判ったか。それで艇を進めてくれ』
 『判りました』
 舟艇は、洋上を滑るように波を割って進んだ。アヱネアスとイリオネスは海岸線を眺めて感想を話し合っていた。
 『なあ~、イリオネス昨日見た海岸線と趣がちい~と違うな。半島として突き出ているだけで、このように違うとはな』
 『我々が海を知らないというわけではないのですが。海を南にするのと北にするのとでは、そのあたりに違いがあるのですかな』
 トロイ時代には、海岸線までに少ないとはいえ距離があった。エノスでは海を南にした海岸線に居住した。クレタでは海を北にすることになる。海を北にするか南にするかで、その違いを実感していた。
 『まあ~、与えられた条件を是として受け入れ、それに慣れていくことか』
 自然を利して生きていくことは、自然に抗うことではないという想いを心の片隅に抱いた。
 彼らは農耕社会に生きる人種であり、そして、イタリアの地を祖とする戦士族であったのである。ローマ建国までこの民族であり、この種族としての思考を連綿と引き継ぎ、尚、次世代に引き継いでいくわけである。ロムルスが兄弟のレムスを殺害をする場でも、その思考でロムルスが手を下したのである。また、ローマ時代に於いて、戦争を挑む相手国に対して宣戦の布告の礼式がこの種族の思考と理念によって組み立てられた礼式によって実行されていったのである。(話が先に飛びすぎました。失礼しました)