彼らの乗った舟艇は、折からの西風に押され海上を滑るように航走した。舟艇には、この時代の船体構造の特徴であった衝角構造がない。軍船に比べて波の割り方が違っていた。そして、浜への乗り上げ意図を構造に施していた。そのうえ船尾に取り付けた小さいながらも三角帆といった、この時代としては、よく考えられて造られていたといっていい。
『おう、ギアス、艇の走りはどうだ。。追い風が幸いして、帰りは艇の走りが速い。ちょっと話している間に、もう、おらが浜ではないか。おらが浜は言いすぎかな』
アヱネアスは感じた様を口にした。
『いや~、言われる通りです。帰りは行きに比べて船足が速く、時間がかかっていません』
『何はともあれ、ギアス、ご苦労であった』
パリヌルスはオキテスに声をかけた。
『いや~、この船、なかなかだ。こんなにいい船とは思ってもいなかった。オキテス』
『お前が、そのように感じてくれるとは、思ってもいなかった。パリヌルス、それからだが、今日見たあの島の事について、ちょっと話し合っておかねばならんな』
『判った。これからの我々にとって避けて通ることのできない大事になるやもしれん』
『そうだな、心しておこう。お前どうだ、腹が減っていないか、俺はぺこぺこだ』
『それは、言えてる。俺も腹ペコだ。オロンテス、早く浜へ上がって夕めしにしよう』
船上の者たちの話題は夕めしにとんだ。
つるべ落としの太陽が海を茜こがねに焼き染めて、クレタの西の海に沈もうとしていた。海が沸騰の飛沫をあげるのではないかと思われた。浜に上がった彼らが眺めるいっときであった。
『おう、ギアス、艇の走りはどうだ。。追い風が幸いして、帰りは艇の走りが速い。ちょっと話している間に、もう、おらが浜ではないか。おらが浜は言いすぎかな』
アヱネアスは感じた様を口にした。
『いや~、言われる通りです。帰りは行きに比べて船足が速く、時間がかかっていません』
『何はともあれ、ギアス、ご苦労であった』
パリヌルスはオキテスに声をかけた。
『いや~、この船、なかなかだ。こんなにいい船とは思ってもいなかった。オキテス』
『お前が、そのように感じてくれるとは、思ってもいなかった。パリヌルス、それからだが、今日見たあの島の事について、ちょっと話し合っておかねばならんな』
『判った。これからの我々にとって避けて通ることのできない大事になるやもしれん』
『そうだな、心しておこう。お前どうだ、腹が減っていないか、俺はぺこぺこだ』
『それは、言えてる。俺も腹ペコだ。オロンテス、早く浜へ上がって夕めしにしよう』
船上の者たちの話題は夕めしにとんだ。
つるべ落としの太陽が海を茜こがねに焼き染めて、クレタの西の海に沈もうとしていた。海が沸騰の飛沫をあげるのではないかと思われた。浜に上がった彼らが眺めるいっときであった。
