『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  133

2010-01-25 07:16:23 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは、朝早くこの地から出かけたアエネアスの帰着を待っていた。物見の兵が、一行が近づきつつあることを告げてきていた。その報告を受けたパリヌルスは、歓迎の隊列を整えて待機した。隊列は、通路をもうけ、その両側に兵を整列させた。待ち受ける兵たちの気持ちは、全員無事の帰着であった。
 一行は、砂煙をあげて近づいてくる、アエネアスを先頭に駆けて来た。待ちわびている兵たちから歓声があがった。両側に別れている隊列の中を進んでくる。
 『オーリャッ!』『オーリャッ!』『オーリャッ!』
 歓声がどよめいた。隊が停止する。下馬する兵たち、両側にいた兵たちが、彼らに殺到した。全員が抱き合い、無事を確かめ、喜び合う感動の風景であった。
 帰着の兵たちの顔、身体全体が汗と砂塵で汚れきっていた。アエネアスは、この光景を馬上から眺めて、皆の歓びが、自分自身の歓びであることに、ひとり悦にいっていた。
 『統領。無事のお帰り何よりでした。』
 パリヌルスが自分を仰ぎ見ている、目と目が合う、アエネアスもようやく、馬から下りる気持ちになった。
 そこには、パリヌルスがいる、オロンテス、アカテスもいる、主だった者たちがそこにいた。息子のユールスも祖父とともにそこにいた。