『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  132

2010-01-22 07:16:23 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスの部隊の者たちは、砦にあった財宝その他を戦利品として持ち帰るべく荷として整え、彼らのするべき仕事の全てを終えた。
 木陰でエノゼリアスと雑談を交わしていたアエネアスの許にイリオネスが報告に足を運んで来た。
 『統領、砦における仕事の一切が終わりました。当方の部隊全員、砦の外に集結しています。如何されますか。』
 『判った。帰るとするか。陽はまだ高いな。』 と言いながら、エノゼリアスに声をかけた。
 『エノゼリアス領主、我々のするべき仕事の方は終わりました。私たちの去るべき時が来たようです。これにて帰途に着きます。今後、時々砦の方へ出向きます。宜しく願います。』
 二人は、座を立ち握手を交わした。エノゼリアスは門まで歩を運び、去り行くアエネアスとその一団を見送った。
 アエネアスとイリオネスは馬首をよせて、二言三言、言葉を交わした。
 『イリオネス、パリヌルスも軍団の皆も、お前らの帰りを待ちかねているぞ。ところで、戦死者はどうした。』
 『はい、彼らは、荼毘にふして、骨箱に入れて持参しています。皆とともに葬ってやるつもりです。』
 帰心は、馬足を速めた。戦場からポリメストルの砦に徒歩で来た兵たちも、砦にいた馬を我がものとして、騎乗していた。