ヘクトルを焼いている炎は、夜は天をこがして燃えた。
この天をこがす炎は、連合軍の各陣営からも眺められた。アキレスが見ている、アガメムノンをはじめ、他の諸将も見ていた。この炎をふるえる感慨を胸に抱いて見ていた者がいた。誰あろうイドメニスの陣営に寄宿しているホメロスであった。ホメロスが、このトロイの戦野を訪れて、今日で60日ちかくとなった。そのホメロスが、この戦野を去る日が数日後に迫っていた。
翌朝、ホメロスは、アガメムノン統領を訪ねて、長きにわたり滞在した礼を丁重に述べた。そして、今日の午後から、明日の二日間にわたり、『トロイ戦争の50日』 としてまとめた叙事詩の吟詠会を催したい旨を伝えた。イドメニスも言葉を添えた。
『う~ん。それはいい!』 この申し入れをアガメムノンは、ことのほか喜んだ。吟詠会は、アガメムノンの幕舎で開催されることが決まった。
この天をこがす炎は、連合軍の各陣営からも眺められた。アキレスが見ている、アガメムノンをはじめ、他の諸将も見ていた。この炎をふるえる感慨を胸に抱いて見ていた者がいた。誰あろうイドメニスの陣営に寄宿しているホメロスであった。ホメロスが、このトロイの戦野を訪れて、今日で60日ちかくとなった。そのホメロスが、この戦野を去る日が数日後に迫っていた。
翌朝、ホメロスは、アガメムノン統領を訪ねて、長きにわたり滞在した礼を丁重に述べた。そして、今日の午後から、明日の二日間にわたり、『トロイ戦争の50日』 としてまとめた叙事詩の吟詠会を催したい旨を伝えた。イドメニスも言葉を添えた。
『う~ん。それはいい!』 この申し入れをアガメムノンは、ことのほか喜んだ。吟詠会は、アガメムノンの幕舎で開催されることが決まった。
