プリアモスは、戸口に立っている兵に、アキレスへの案内を乞うた。プリアモスがアキレスを見た。アキレスは、老人に鋭い目線を注いだ。離れた場所からひざまずいて礼をとった。自分がトロイのプリアモスであることを、同時に、アキレスに危害を加える者でないことも判ってもらいたかった。そうである事が判ったらしい。プリアモスがアキレスに近寄る、剣に手をかけて身構えるアキレス、足元にひざまずく、アキレスの部下がとり囲む、アキレスの左手をとって口づけをした。仰ぎ見る格好で来訪の意を伝えた。目には涙をうるませて胸の内を哀告した。
『この老いた私を憐れに思っていただきたい。私の死んだ息子を返していただきたい。今、その願いを伝える老いの身が貴方の前に、このようにして懇願しているのです。貴方も、貴方自身の父上のことを思っていただきたい。どうかこの願いを聞き届けて欲しい。』
アキレスは、瞬時、父のことに思いをはせた。アキレスは、プリアモスを立たせ、座をすすめた。
『あ~あ、老王。私の陣営に単身で来られた、その決意にうたれた。席に着かれよ。老王は、これまで幸せだと私は聞いている。されど、トロイ城市には、戦争が続いている。貴方の愛息は、貴方が悲しんでも帰っては来ない。心されよ。』
『この老いた私を憐れに思っていただきたい。私の死んだ息子を返していただきたい。今、その願いを伝える老いの身が貴方の前に、このようにして懇願しているのです。貴方も、貴方自身の父上のことを思っていただきたい。どうかこの願いを聞き届けて欲しい。』
アキレスは、瞬時、父のことに思いをはせた。アキレスは、プリアモスを立たせ、座をすすめた。
『あ~あ、老王。私の陣営に単身で来られた、その決意にうたれた。席に着かれよ。老王は、これまで幸せだと私は聞いている。されど、トロイ城市には、戦争が続いている。貴方の愛息は、貴方が悲しんでも帰っては来ない。心されよ。』
